人事労務ニュース
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文書作成日:2018/07/24

過去最多を更新した精神障害による労災請求件数

 長時間労働や仕事のストレスによって過重な負荷がかかり、従業員が脳・心臓疾患や精神障害を発症するケースが多くの企業で起こり、問題となっています。こうした問題が発生した際には、労災請求が行われる場合がありますが、先日、平成29年度の労災請求状況に関する集計結果が厚生労働省より発表されました。今回は、この内容についてとり上げましょう。

1.脳・心臓疾患の労災補償状況
 脳・心臓疾患の労災請求件数は840件となり、前年度の825件から15件増加しました。そして支給決定件数は253件で、認定率は38.1%となっています。
 医学的に、脳・心臓疾患の発症と時間外労働時間の長さとの関連性は強いと言われていることから、労災として認定された事案における時間外労働の長さには注目をしておく必要があります。今年度の支給決定事案(「異常な出来事への遭遇」または「短期間の過重業務」を除く)の内容を見ると、評価期間1ヶ月間の時間外労働時間はすべて80時間以上ですが、評価期間2〜6ヶ月間の1ヶ月平均の時間外労働時間では、45時間以上60時間未満であっても労災として認定された事案が見られます。他にも労災の認定がされた理由はあるかと思いますが、単月での長時間労働のみならず、慢性的な長時間労働にも注目し、できるだけ時間外労働時間数が45時間に収まるように、業務内容や業務分担を見直すなどして対策していくことが求められます。

2.精神障害の労災補償状況
 精神障害の労災請求件数は1,732件となり、前年の1,586件から146件増加し、過去最多となりました(下図参照)。支給決定件数は506件で、認定率は32.8%となっています。認定率は過去5年間の中で最低となっていますが、申請の3件に1件の割合で労災として認定されていることが分かります。

 精神障害の集計では、精神障害が発症した理由と考えられる支給決定事案における具体的な出来事別が分類されていますが、上位項目は次のとおりとなっています(「特別な出来事」を除く)。

1)(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた 88件
2)仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった 64件
3)悲惨な事故や災害の体験、目撃をした 63件
4)2週間以上にわたって連続勤務を行った 48件
5)1か月に80時間以上の時間外労働を行った 41件

 精神障害の具体的な出来事として上位項目となった「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」という内容はいわゆるパワーハラスメントに該当し、その予防が重要になります。そのため、企業としては、管理職や一般職向けの労働時間やハラスメントに関する研修を定期的に実施したり、従業員が相談しやすいようにハラスメント相談窓口を設置するなどして対策を行っていきましょう。

■参考リンク
厚生労働省「平成29年度「過労死等の労災補償状況」を公表します」


※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。