沖縄の企業に人材育成が必要なわけ
沖縄の企業に人材育成が必要なわけ

■定着率と働きがい・働きやすさの相関性

沖縄県はサービス業の比率が高く、これらの産業は非正規雇用の割合が高い傾向にあります。また、県内企業の多くは中小零細企業であり、労働条件等は必ずしも高くありません。こういった環境の中で単に定着率、働きやすい職場を目指すということではなく、働きがいのある職場、成長できる職場であることが必要であり、言い換えれば、常に従業員を成長させる企業、人材育成企業であることが重要な要件となります。

人が育つと離職率が下がります。それは、働きがいや成長実感とその相関が高いからです。また、優秀な人材の採用がしやすくなります。

離職率と働きがい・成長実感の相関図

上記の図は平成23年に沖縄県が実施した県内企業(対象159社)における雇用環境実態調査報告書からの抜粋です。おそらく10年に一度の間隔で実施されるのだと思います。この報告書の優れたところは、雇用を働きがいと働きやすさに分けて分析した点です。働きがいは、社員の成長実感や成長予感、コミュニケーションとの相関が高く、働きやすさは、働く環境と高い相関があります。給与や労働時間などの労働法的な整備も働きやすさに分類されます。

1.人材育成企業(全体の20.8%)

右上の象限にプロットされる企業は、単に働きやすいだけでなく、社員が働きがいを感じている、いわゆる社員が自分自身のさらなる成長を感じている企業です。これらの企業は、他と比較して人材を育成し、他の人にも薦められる、かつ、働きやすい職場環境が整っている企業です。

2.人材滞留企業(全体の33.3%)

右下の象限にプロットされる企業は、単に働きやすいだけで、社員が働きがいをあまり感じていない、自身の成長と関係なく働きやすい、あるいは他に選択肢がないというだけで現状にとどまっている企業と考えられます。

これらの企業は、他と比較して人材を育成し続ける要素が低いが、働きやすい職場環境は整っている会社といえます。今はとりあえず良いが、環境変化があったときに、働く人にとってはリスクの高い職場といえます。

3.人材輩出企業(全体の1.9%)

左上の象限にプロットされる企業は、働きがいは感じているが、現在の会社に長く留まることを考えていない社員が多く存在する企業です。しかし、友人や知人にも自身の職場を勧められるということからも、職場に対する不満ではなく、自身の成長により外へでることを思考していると考えられます。

これらの企業は、他と比較して人材を育成し続ける要素が高く、人材を輩出している会社といえます。独立のためのステップなど、業種業態によっては十分あり得る企業モデルと考えられます。

4.人材流出企業(全体の44.0%)

左下の象限にプロットされる企業は、社員が働きがいをあまり感じない上に、現在の会社に長く留まることを考えていない社員が多く存在する企業です。つまり、職場環境も整っておらず、社員も成長や働きがいを感じないことから、可能であれば転職したいと考えている社員が多い、人材を流出させる企業です。社員が自身の成長を予感できないという事からも、単に雇用して仕事をやらせるだけの人材使い捨て企業とも言えそうです。

これらの企業は、他と比較して人材を育成し続ける要素が低く、なおかつ、働きやすい職場環境が整っていない人材を流出させる会社といえます。このような企業が企業が人材育成企業に変貌していくことこそが、沖縄県の若者の将来、ひいては雇用情勢の改善のために必須となるでしょう。


■人材育成企業の要件

では、人材育成企業とはどのような企業でしょうか。
雇用環境実態調査報告書では「人材育成企業の要件」を以下のように定義しています。

1. ビジョンと人材像の実質化

1-1. ビジョンと人材の明確化
1-2. 人材像に基づく採用・評価・登用
1-3. ビジョンと人材像の浸透・共有

2. コミュニケーションを通じた人材育成

2-1. コミュニケーションを通じた相互理解と支援
2-2. フィードバックによる気づきを通じた能力開発
2-3. 相互に学び支援し啓発し合う組織

3. 仕事を通じた人材育成

3-1. 仕事及び必要能力の体系化可視化と自身の能力水準の把握
3-2. 仕事における背伸びを通じた能力開発と成長
3-3. キャリアステップの提供による成長の継続

4. 職場育成機能を保管する人材育成投資

4-1. 充分な初任者指導教育
4-2. 職場では得られない特定スキル・基礎理論や教養の獲得
4-3. 長期的視点の意図的なコア人材育成投資

5. 人・仕事・キャリアへの取り組み姿勢の形成支援

5-1. 個人に焦点を当てた人間尊重の風土と人への関心
5-2. 気づきや腹落ちを通しての仕事観や仕事への取り組み姿勢の形成
5-3. 高い視線や広い視野を持ったキャリア自立の意識形成



社会保険労務士 江尻事務所では、人材マネジメントに関するセミナーも行なっております。これまでの人材マネジメントセミナーの実績はこちらからご確認ください。


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社会保険労務士 江尻育弘