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福祉・介護現場のカスタマーハラスメント対策

──その一言は、苦情か、ハラスメントか──
葛藤/法の物差し/症状と攻撃/契約解除と裁判例/求職者・実習生/明日から使う道具
福祉・介護・保育の事業所から寄せられる質問をもとに(2026年10月末時点の公表情報による)

2つの措置義務の施行
2026年10月1日
規模・業種を問わず。中小への猶予なし
迷惑行為の経験(過去3年間)
44.4%
医療・介護分野の組合員中心の調査
カスハラを受けたことがある
24.8%
同じ調査の別の設問(過去3年間)
地方公務員・福祉事務所(部門別)
61.5%
過去3年にカスハラを受けた経験(感じた経験を含む)
登場人物:江尾社労士(所長)/ さくら(事務所スタッフ)  舞台:沖縄・中城村の江尾社労士事務所
本資料の読み方
本資料は、法令・指針(令和8年厚生労働省告示第51号・第52号)、厚生労働省・総務省の調査、労働組合の調査、厚生労働省の事業で作成されたマニュアル等をもとに、福祉・介護・保育の現場のカスタマーハラスメント対策と、求職者・実習生へのセクシュアルハラスメント対策の要点を対話の形で読み解いたものです。独自の調査ではなく、既存の資料を整理したものです。調査ごとに定義、対象、期間が異なりますので、数値を相互に単純に比べることはできません。裁判例は専門メディアの解説記事による要約で、判決原文との照合は済んでいません。
対話のなかで述べる沖縄の地域事情、実務の進め方、スクリプトや条文例は、社会保険労務士としての見立てや提案であり、個別事案の結論を示すものではありません。調査で確かめられた事実と分けてお読みください。なお、登場する事業所や場面は、説明のために設定したものです。

第 1 回その葛藤を、言葉にする ── 「受容」と「職員を守る責任」のあいだで

2026年(令和8年)10月1日、カスタマーハラスメントの防止措置が事業主の義務になりました。第1回では、法律の話に入る前に、福祉の現場が抱えてきた迷いを言葉にし、よく引用される調査の数字を、定義と分母から読み直します。

十月の終わりの中城村である。ミーニシ(新北風)が吹きはじめ、事務所の窓から見える中城湾の色が、夏のそれより一段深くなった。

江尾社労士事務所には、月が替わってから、介護事業所、障害福祉の事業所、保育園の管理者から、同じような相談が続いていた。「カスハラ対策が義務になったと聞いたが、うちは何をすればいいのか」。さくらは、問い合わせのメモを束ねて所長の机に持ってきた。

◇  ◇  ◇
さくら
先生、今月はカスハラのご相談がとても多いです。ただ、皆さん、法律のことより先に、迷いを口にされるんです。
江尾
どんな迷いでしたか。
さくら
「相手を怒らせたのは、私の関わり方が未熟だったから」「利用者さんの生活の大変さを思えば、これくらい我慢すべき」「対応を制限したら、虐待や権利侵害だと言われそうで怖い」。それから、「契約を解除したら、行政処分や訴訟になるのではないか」という声もありました。
江尾
研修でも、顧問先でも、よく聞く声です。いつも同じ人が矢面に立っている、実習生を守りたいがベテランの指導者に強く言えない、という声もあります。どれも、誠実に仕事をしてきた人の声です。その迷いは、未熟さではなく誠実さの証だと、私は思っています。

どちらも本物の責任。だから苦しい

さくら
迷いの根っこには、何があるのでしょうか。
江尾
二つの責任です。一つは、支援者としての倫理。行動の背景にある不安や困窮、病を理解して、まず受け止める。「断らない福祉」「最後の砦」という使命感です。その裏返しとして、「怒らせた自分が未熟だ」と抱え込んでしまう。
さくら
もう一つは何でしょうか。
江尾
事業主としての法的な責務です。労働契約法5条の安全配慮義務により、予見できた被害を放置すれば、法人は損害賠償責任を負いうる。そして2026年10月1日からは、カスハラの防止が事業主の措置義務になりました。
さくら
どちらも大切なものですね。
江尾
どちらも本物の責任です。だから苦しい。このシリーズでは、この二つを両立させる道筋を、一緒に考えていきたいと思います。

「4割がカスハラ被害」は、本当か

さくら
ある管理者の方は、「介護職の4割がカスハラ被害に遭っているそうですね」とおっしゃっていました。
江尾
その数字は、もとの調査に戻って読み直す必要があります。UAゼンセンとヘルスケア労協の共同調査で、2023年秋から2024年1月にかけて行われ、有効回答は7,164件でした。医療・介護分野で働く組合員を中心とする調査で、一部に非組合員を含みます。全国の従事者全体を代表する数字とは限りません。
さくら
4割というのは、どの数字でしょうか。
江尾
過去3年間に迷惑行為を経験した人が44.4%です。同じ調査には「カスハラを受けたことがあるか」という別の設問があり、こちらも過去3年間についての回答で、24.8%でした。2つは別の設問ですから、「4割がカスハラ被害」とは言い換えられません。
図1 職種別にみた迷惑行為とカスハラの経験率
出典:UAゼンセン・ヘルスケア労協共同調査(2023年秋〜2024年1月実施、有効回答7,164件。医療・介護分野の組合員中心で、一部に非組合員を含む)。迷惑行為は全体44.4%・看護職54.9%・介護職47.6%、カスハラは全体24.8%・看護職28.1%・介護職21.8%。2つは別の設問への回答です。
職種別の迷惑行為とカスハラの経験率
さくら
24.8%なら、カスハラの被害率として使ってよいのでしょうか。
江尾
それも注意が要ります。24.8%は、この調査が示した定義に基づいて、回答者が経験を答えた割合です。現在の法律に基づいて、個々の事案がカスハラに当たるかを判定した割合ではありません。数字を正確に扱うことは、現場の声を軽く見ることではなく、むしろ正しく届けるための土台です。

皆さんの現場だけではない

さくら
福祉の現場だけが特別に多い、ということなのでしょうか。
江尾
ほかの調査も見ておきましょう。厚生労働省の令和5年度「職場のハラスメントに関する実態調査」の企業調査では、過去3年に顧客等からの著しい迷惑行為の相談を取り扱った企業2,167社のうち、相談件数が「増加」と答えたのが23.2%で、各種ハラスメントのなかで最も高い割合でした。
さくら
企業の側でも、増えていると感じているのですね。
江尾
もう一つ、総務省が2024年11月から12月に行った地方公務員へのアンケートでは、過去3年にカスハラを受けた、あるいは受けたと感じた経験のある職員が35.0%でした。部門別にみると、福祉事務所が61.5%、児童相談所等が42.1%です。福祉事務所は各種年金保険関係と並ぶ高さで、最も高いのは広報広聴の66.3%でした。部門別の割合は、被害を受けた当時の部門の人数を、現在その部門にいる人数で割った値です。
図2 地方公務員がカスハラを受けた経験(過去3年、受けたと感じた経験を含む)
出典:総務省「地方公共団体における各種ハラスメントに関する職員アンケート調査」(2024年11〜12月実施)。部門別の割合は、被害を受けた当時の部門の人数を現在の部門の人数で割った値です。調査の時期・対象が他の調査と異なるため、相互に比較しません。
地方公務員 全体 35.0%
 
部門別 児童相談所等 42.1%
 
部門別 福祉事務所 61.5%
 
さくら
対人援助の部門で高いのですね。社協や公立施設の方には、そのまま自分の話かもしれません。
江尾
ただし、調査の時期も対象も違いますから、数字どうしを並べて比べることはしません。厚生労働省の調査は2025年8月に正誤表が公表されていますので、引用するときは訂正版で確かめてください。

沖縄の現場で、断りにくさを強めているかもしれないこと

さくら
沖縄の現場ならではの事情は、あるのでしょうか。
江尾
先にお断りしておくと、沖縄県内の福祉職員に限ったハラスメントの調査は、私が確認できた範囲では見当たりません。ですから、ここから話すのは私の経験からの仮説です。四つ、思い当たることがあります。
さくら
お願いします。
江尾
一つめは、地域の近さです。利用者やご家族と職員が地域で顔見知りで、苦情が「あの職員」個人の評判に直結しやすく、組織として答えにくい。二つめは、地域のことば、しまくとぅばです。認知症が進むと、若いころに使っていた地域のことばが増えることがあります。意味が分からない言葉を暴言と早合点せず、分かる職員やご家族の力を借りたいところです。
さくら
三つめは何でしょうか。
江尾
親族の結びつきです。広い親族が関わり、要求が食い違うことがある。窓口となるキーパーソンを決めておくと助かります。四つめは、代わりがない地域です。離島やへき地では事業所が限られ、「断れない」重みが増します。そのぶん、打ち切りの基準と記録が要になります。
さくら
皆さんの現場ではどうか、お聞きしてみたいですね。
江尾
ぜひ。なお、沖縄県が令和7年3月に公表した「カスタマーハラスメント対策基本方針」は、県職員を守るための方針です。福祉サービスの苦情解決制度も、利用者やご家族の苦情を受け付ける仕組みです。どちらも、職員の被害の実態を示す資料ではありません。この迷いを、次回から法と裁判例でほどいていきましょう。
実務メモ 調査の数字を引用するときの六つの確認
一つ、調査の主体と名称。二つ、調査の時期(資料によって記載が異なる場合は幅で示す)。三つ、対象者と回答数。四つ、その数字の分母(全回答者か、経験者や特定の企業だけか)。五つ、対象期間(過去1年か、3年か)。六つ、複数回答かどうか。期間や対象が異なる調査どうしを並べて「何倍」と比べることは避けます。報道によって数値が異なる調査もありますので、引用する前に原報告書の該当する表を確かめます。
第1回のまとめ

第一に、支援者としての「受容」の倫理と、事業主として職員を守る法的責務は、どちらも本物の責任です。現場の迷いは、未熟さではなく誠実さの証です。

第二に、よく引用される44.4%は「迷惑行為」の経験率であり、「カスハラを受けたことがある」は24.8%です。24.8%も調査の定義に基づく回答で、法律に基づいて個別に判定した割合ではありません。

第三に、沖縄の地域の近さ、しまくとぅば、親族の結びつき、代わりがない地域が断りにくさを強めている可能性は、講師の経験からの仮説です。県内の福祉職員に限った調査は、確認できた範囲では見当たりません。

第 2 回権利擁護と、ハラスメントの放置は別の問題 ── 三つの法的責任と二つの措置義務

「利用者を守るか、職員を守るか」。第2回では、この二者択一から抜け出すために、守るべきものと拒むものを分け、放置した場合の法的なリスクと、10月1日にそろった二つの措置義務を確かめます。

翌週、さくらは障害福祉の事業所で開かれた職員会議に同席した。議題はカスハラ対策の方針づくりだったが、話はすぐに一点で止まった。

「でも、断ったら、利用者さんの権利を奪うことになりませんか」。若い支援員の問いに、会議室は静かになった。帰りの車の中で、さくらはその問いを江尾に伝えた。

◇  ◇  ◇
さくら
先生、「断ることは、利用者さんの権利を奪うことにならないか」と聞かれて、うまく答えられませんでした。
江尾
とても大事な問いです。答えは、二つは同じ天秤に載せるものではない、ということです。

同じ天秤に載せるものではない

表1 利用者の権利擁護と、ハラスメントへの対応
講師による整理です。
  具体例
これまでどおり守るもの(利用者の権利擁護) サービスの不備への苦情・改善要求、合理的配慮の求め、自己決定と尊厳、症状・障害特性への専門的な関わり、虐待の疑いを行政に通報・相談すること
組織として拒むもの(ハラスメントへの対応) 暴力・脅迫・人格を否定する暴言、土下座・解雇の要求、長時間の拘束、契約や制度を超える要求の執拗な繰り返し、職員から実習生・応募者への性的な言動
さくら
守るものと拒むものは、もともと別のものなのですね。
江尾
そうです。利用者の正当な権利は、これまでどおり守ります。違法・不当な言動は、組織として拒みます。別の問題だから、両方守れるのです。毅然と拒むことは、福祉の理念に背く行為ではありません。権利擁護の土台を守る行為です。

放置することこそが、法的リスクになる

さくら
それでも、「拒んだら訴えられるのでは」という心配は残ります。
江尾
法的に重いのは、むしろ放置のほうです。三つの責任を押さえておきましょう。一つめは安全配慮義務違反。労働契約法5条により、予見できたハラスメントを漫然と放置し、職員が心身を損なえば、法人は損害賠償責任を負いうる。
さくら
二つめは何でしょうか。
江尾
措置義務違反です。方針、相談体制、事後対応などの措置は、改正労働施策総合推進法と改正男女雇用機会均等法により、2026年10月1日から法律上の義務になりました。怠れば、行政の助言・指導・勧告の対象になります。三つめが使用者責任。職員が面接や実習指導の場で求職者や実習生に加えた行為について、民法715条により、法人も責任を問われうるのです。
さくら
拒めばよい、ということでもないのですよね。
江尾
そこは均衡が大切です。不適切な提供拒否や契約解除も、問題になりえます。不相当な言動は拒みつつ、必要な支援は適切につなぐ。職員被害の放置も、安易な提供拒否も避ける。この両方です。

二つの措置義務が、同じ日にそろった

さくら
10月1日に義務になったのは、カスハラ対策だけではないのですね。
江尾
ええ。二つは別の法律ですが、施行日と措置の骨格が共通しています。
表2 10月1日にそろった二つの措置義務
出典:改正労働施策総合推進法、改正男女雇用機会均等法(13条)、令和8年厚生労働省告示第51号・第52号。
  カスタマーハラスメント 求職者等へのセクシュアルハラスメント
根拠 改正労働施策総合推進法/指針:令和8年厚生労働省告示第51号 改正男女雇用機会均等法(13条)/指針:令和8年厚生労働省告示第52号
守る相手 自法人の職員 求職者・実習生など
行為者 利用者・家族などの「顧客等」 自法人の職員など
共通 2026年10月1日施行。企業規模・業種を問わず全事業主。中小事業主への猶予なし  
さくら
向きが逆なのですね。
江尾
そうです。カスハラは外から職員へ。求職者等へのセクハラは、職員から外へ。求職者等へのセクハラは第6回で詳しく取り上げます。なお、介護事業者には、2021年度の介護報酬改定の時点で、職場のパワハラや利用者・家族から受けるセクハラについて、必要な対策がすでに求められていました。今回、カスハラ全般にも防止措置の義務が広がった、という整理です。

カスハラとは ── 三つの要素をすべて満たすもの

さくら
そもそも、法律でいうカスハラとは、どのようなものでしょうか。
江尾
三つの要素をすべて満たすものです。一つめは、顧客等の言動であること。利用者やご家族、取引先などで、電話やSNS上の言動も含みます。二つめは、社会通念上許容される範囲を超えたものであること。業務の性質その他の事情に照らして判断します。次回お話しする「二つの軸」の出番です。三つめは、労働者の就業環境が害されること。職員が能力を発揮できない、心身に支障が出る、働き続けることがつらくなる、といった状態です。
さくら
苦情は、すべてカスハラになるわけではないのですね。
江尾
なりません。正当な苦情は、業務改善の大切な手がかりです。なお、いまの三要素の表現は私の要約です。正確な文言は、令和8年厚生労働省告示第51号で確かめてください。

講ずべき措置 ── 二つともほぼ同じ骨格

表3 講ずべき措置の比較
各指針(令和8年厚生労働省告示第51号・第52号)の要約です。項目の立て方・文言は告示原文で確認してください。
措置の柱 カスハラ(告示第51号) 求職者等へのセクハラ(告示第52号)
方針の明確化と周知・啓発 カスハラから職員を守る方針と、対処の内容を職員に周知 許さない方針と厳正な対処方針。面談の時間・場所、実施体制、使う連絡手段などのルールを定める
相談体制の整備 職員向けの窓口を定め、担当者が適切に対応できるように 求職者等が使える窓口を定めて周知し、担当者が適切に対応できるように
事後の迅速・適切な対応 事実確認、被害職員への配慮、再発防止 事実確認、被害者への配慮、行為者への措置、再発防止
抑止のための措置 特に悪質な事案への対処方針と、それを実施できる体制(責任者・連絡体制、警察・弁護士との連携手順) ──
あわせて講ずべき措置 プライバシー保護。相談したこと・事実確認に協力したこと等を理由とする不利益取扱いの禁止 プライバシー保護。事実確認に協力したこと等を理由とする不利益取扱いの禁止
さくら
カスハラのほうにだけ、「抑止のための措置」があるのですね。
江尾
ええ。特に悪質な事案に備えて、対処方針を決めるだけでなく、責任者や連絡体制、警察や弁護士との連携手順まで整えておく、ということです。また、義務なのは必要な措置を講じることで、「マニュアル」という名前の文書を一律に作ることと同じではありません。規程・窓口・研修は、一体で整えるのが効率的です。
実務メモ 措置を点検するときの三つの問い
一つ、何がカスハラに当たり、法人としてどう対処するかを、全職員が知っているか。パートや登録ヘルパーの方も含めて確かめます。二つ、相談したことや、事実関係の確認に協力したこと等を理由として、解雇、評価の引下げその他の不利益な取扱いをしない旨を定め、職員に周知しているか。三つ、特に悪質な事案のとき、誰が責任者で、誰に連絡し、どの時点で警察や弁護士につなぐかが決まっているか。
第2回のまとめ

第一に、利用者の権利擁護とハラスメントへの対応は、同じ天秤に載せるものではありません。正当な権利は守り、違法・不当な言動は組織として拒みます。

第二に、法的に重いのは放置のほうです。安全配慮義務違反、措置義務違反、使用者責任の三つを押さえつつ、安易な提供拒否も避けます。

第三に、カスハラと求職者等へのセクハラの措置義務は、2026年10月1日に、規模・業種を問わず、中小事業主への猶予なく始まりました。措置の骨格はほぼ共通で、カスハラには特に悪質な事案への対処方針と体制が加わります。

第 3 回物差しを持つ ── 二つの軸と、A〜Dの区画

苦情なのか、ハラスメントなのか。第3回では、担当者ひとりの感じ方に委ねず、組織で同じ判断をするための「物差し」を整理し、保育園の架空の事例で使い方を確かめます。

夕方、保育園の園長から電話があった。噛みつきのあった園児の保護者が、毎朝、職員室に来るという。

「どこからがカスハラなのか、私にも分からなくなってきました」。受話器を置いたさくらは、ホワイトボードに縦と横の線を一本ずつ引いた。

◇  ◇  ◇
さくら
先生、どこからがカスハラなのか、線の引き方が分からないという相談です。
江尾
担当者ひとりの感じ方に委ねると、人によって判断がぶれます。組織で同じ物差しを持ちましょう。軸は二つです。

物差し�@ 二つの軸で分けて見る

江尾
一つめは、要求内容の妥当性。求めていること自体に理由があるか、です。要求に理由がない、サービスと無関係、契約で想定するサービスを著しく超える、対応が著しく困難・不可能、不当な損害賠償要求といった場合は、妥当性を欠きます。
さくら
二つめは、伝え方ですね。
江尾
手段・態様の相当性です。その伝え方が、社会通念の範囲にあるか。暴行・傷害といった身体的な攻撃、脅迫・侮辱・暴言・土下座の強要といった精神的な攻撃、威圧的な言動、継続的・執拗な言動、不退去や居座りといった拘束的な言動は、相当性を欠きます。左は「中身」、右は「やり方」。二つを独立して判断します。

物差し�A 判別マトリクス ── 迷うのはBとC

表4 判別マトリクス
講師による整理です。
  手段・態様が相当 手段・態様が不相当
要求内容が妥当 A 正当な苦情・要望。説明や再発防止の求め。まず受け止める B グレーからカスハラへ。中身は正当でも、怒鳴る・居座る・土下座の強要はカスハラになりうる
要求内容が不当 C 不当な要望。伝え方は穏当でも、契約・制度の範囲を超える要求。説明後も執拗に繰り返され、業務に支障が出ればカスハラになりうる D 明白なカスハラ。理不尽な要求に暴言・脅迫が重なる。毅然と対応
さくら
AとDは迷いませんね。
江尾
迷うのはBとCです。Bは、中身は正しいのに、やり方が度を越している。Cは、口調は穏やかでも、中身が契約や制度の範囲を超えている。ただし、不当な要求でも、説明したらすぐ取り下げて、就業環境に支障がなければ、直ちにカスハラとは限りません。

物差し�B 区画ごとに、組織の対応を決めておく

表5 区画ごとの組織の対応(例)
講師による整理です。認知症などの病気・障害の症状として現れた言動は、この区画では判断しません(第4回で扱います)。
区画 組織としての対応(例)
A 正当な苦情 事実確認。不手際は率直に詫び、改善策を示す。業務改善の機会
B 態様が不相当 ミスへの謝罪・説明は行う。土下座・暴言・長時間拘束は明確に断る
C 内容が不当 契約と制度の範囲を示し、できない理由を説明して断る。代わりにできることを示す
D 明白なカスハラ 要求には応じない。対応を打ち切り、管理者へ引き継ぐ
共通の緊急対応(区画を問わない) 暴行・脅迫・性的接触など危険な言動は、要求内容にかかわらず対応を打ち切り、職員を退避させる。管理者へ引き継ぎ、必要に応じて警察へ
さくら
暴力や性的な接触は、区画とは別枠なのですね。
江尾
そうです。要求内容が正当でも、暴力などで社会通念上許容される範囲を超えることがあります。危険な言動は、A〜Dのどこであっても、安全確保を優先する共通の緊急対応で扱います。そして、どの区画でも、判断するのは「担当者ひとり」ではなく「組織」です。

見落としやすい二つの落とし穴

さくら
ほかに、気をつけることはありますか。
江尾
二つあります。一つめは、丁寧な口調でもカスハラになりうること。たとえば、毎日、1回30分以上の電話で、敬語で細かな指摘を続ける。言葉づかいだけで判断せず、頻度や時間に加えて、目的、すでに説明済みか、新しい論点があるか、業務への支障を総合して見ます。記録には「何回・何分」を淡々と残します。
さくら
二つめは、その逆でしょうか。
江尾
強い口調でも、訴えそのものは退けないことです。サービスの不備の指摘や、合理的配慮の求めは正当な権利です。障害を理由とする不当な差別的取扱いは禁止されていて、合理的配慮の提供は事業者の義務です。悪意の有無だけで線を引かず、中身は受け止め、やり方には線を引く。二つを分けて、相手に伝えます。
さくら
利用料の滞納は、どう考えればよいでしょうか。
江尾
滞納そのものは、契約上の支払いの問題で、ハラスメントとは区別します。請求した職員を脅したり侮辱したりする言動があれば、その言動が問題になります。もう一つ、介護では、組織として対応しても解決しない苦情は、市町村に加えて国保連にも申し立てられることを利用者に伝えると、言動の激化を防ぐ手立てになります。厚生労働省の事業でまとめられたマニュアルも、この点に触れています。

ケースで確かめる ── 保育園の「名前を教えて」

さくら
先ほどの保育園のご相談に、物差しを当ててみてもよいですか。
江尾
やってみましょう。架空の設定に置き換えて考えます。2歳児クラスで、Fちゃんが友だちに腕を噛まれた。園長と担任はその日のうちに状況と手当てを説明し、謝罪した。翌朝から保護者は「相手の名前と連絡先を教えて」「園の仲介で、目の前で相手の親に謝らせて」と求める。園が、相手方の情報は原則としてお伝えできないこと、事実確認と再発防止に取り組むことを繰り返し伝えても受け入れず、「隠蔽体質だ」と職員室に響く声で詰め寄り、「相手の親に土下座させろ。それまで帰らない」と居座る。送迎のたびに詰め寄られる担任は、萎縮していく。
さくら
最初は、正当な苦情ですよね。
江尾
そうです。その日のうちに事実と手当てを伝え、園の取組みを説明して詫びるのが出発点で、Aの対応です。「相手を知りたい」という気持ちも自然な感情で、頭ごなしに退けてはいけません。噛みつきは2歳児で起こりうる発達上の行動でもあり、噛んだ子を「加害者」と固定して語らないことも大切です。
さくら
名前と連絡先を求めるところは、どうでしょうか。
江尾
伝え方が穏当でも、園が原則として応じられない要求で、Cにあたります。個人情報保護法27条は、本人の同意や法定の例外による第三者提供を認めていますが、園から相手方の氏名や連絡先を伝えることは、原則として行いません。園の姿勢ではなく、法の原則に基づく取扱いだと、最初に、同じ言葉で伝えます。
さくら
謝罪の場を設けてほしい、という求めは。
江尾
園が主導したり強制したりする謝罪の場は、原則として設けません。ただ、双方の意向や子どもの最善の利益をふまえて、個別に判断する余地は残しておきます。園の法的責任の有無や範囲も、その場で断定しないことです。
さくら
職員室に響く声で詰め寄ったり、土下座を求めて居座ったりするところからは。
江尾
内容も手段も不当で、Dです。担任を窓口から外し、園長や事務長が複数で対応して、記録票に残します。相手方の情報を開示しないことは、地域で顔を合わせる双方のご家庭を守ることにもなる、と私は考えています。最初は正当な心配から始まり、手段によって変わっていく。白黒が決まってから動くのでは遅いのです。
実務メモ ケースを読む四つの流れ
一つ、受け止める。その日のうちに事実と手当てを伝え、詫びる。二つ、線を引く。相手方の情報は原則として伝えないことを、理由を添えて、最初に、同じ言葉で伝える。三つ、組織へ渡す。態様が不相当になったら、担任を窓口から外し、園長・事務長が複数で対応する。四つ、記録を残す。記録票には「求められたこと」と「伝えられ方」を分けて書く。感情には寄り添い、応じられないことは理由とともに最初に伝える。保育以外の現場でも、この流れは同じです。
第3回のまとめ

第一に、苦情かハラスメントかは、要求内容の妥当性と、手段・態様の相当性の二つの軸で、独立して判断します。判断するのは担当者ひとりではなく組織です。

第二に、迷うのは、中身は正当でもやり方が度を越すB、口調は穏当でも中身が範囲外のCです。区画ごとの対応をあらかじめ決め、暴行・脅迫・性的接触などの危険な言動は、区画を問わず安全確保を優先します。

第三に、丁寧な口調でもカスハラになりうる一方、強い口調でも正当な訴えや合理的配慮の求めは退けません。中身は受け止め、やり方には線を引きます。

第 4 回「症状」か「攻撃」か ── ご本人を責めず、職員を守る

福祉ならではの難所が、病気や障害の症状として現れる言動です。第4回では、ハラスメント対策の物差しをそのまま当てはめないこと、それでも職員の安全は別に守ることを、二つの問いと三つの段階で整理します。

昼前、さくらは訪問介護事業所のサービス提供責任者と電話で話していた。受話器を置いたあと、しばらく手元のメモを見つめている。

「ヘルパーさんが、三か月も前から困っていたそうなんです。認知症の方だから仕方がない、と思って、誰にも言っていなかった、と」。江尾は湯のみを置いて、椅子をさくらのほうへ向けた。

◇  ◇  ◇
さくら
先生、「認知症の方だから仕方がない」という空気が、相談を止めてしまっていたようです。
江尾
福祉ならではの難所ですね。まず、立場をはっきりさせておきましょう。病気や障害の症状として現れた言動は、ハラスメント対策ではなく、まず医療やケアの観点から対応します。厚生労働省の事業でまとめられたマニュアルも、この立場をとっています。
さくら
では、やはり職員が受け止めるしかないのでしょうか。
江尾
いいえ。そこで二つの問いを分けて考えます。

問い1 ハラスメントか、症状による言動か

江尾
一つめは、ハラスメントか、症状による言動か。病名があるだけで、一律に決めないことが大切です。主治医やケアマネジャーなど専門職の意見を踏まえて、組織で判断します。症状によるものなら、ご本人を責めません。叱責や、懲罰的な契約解除もしません。
さくら
施設だけで決めない、ということですね。
江尾
そうです。認知症の行動・心理症状(BPSD)など、病気や障害の症状による言動は、医療的なケアや認知症ケアで対応します。前回の物差しを、症状にそのまま当てはめないでください。

問い2 職員の安全は守られているか

さくら
二つめの問いは何でしょうか。
江尾
職員の安全は守られているか、です。症状による言動であっても、職員の安全への配慮は別に必要です。「症状だから我慢」で放置すれば、安全配慮義務の問題になりえます。ご本人を責めないことと、職員を守ることは、両立させる。「受容」を、我慢の言い訳にしないことです。

症状による言動でも、職員を守る三つの段階

さくら
具体的には、どうすればよいのでしょうか。
江尾
三つの段階で考えます。一つめは、その場を離れることです。暴力や性的接触の危険が迫ったら、支援を中断して退避してよい。これを組織として公認し、手順にしておきます。
さくら
組織が認めていないと、職員は離れられませんものね。
江尾
ここがいちばん大事です。二つめは、チームで原因を探すこと。医師の評価も得て、環境や時間帯、介助の手順といった誘因を検証します。二人での対応や、同性介助への切替えも検討します。
さくら
三つめは。
江尾
限界点で、つなぐことです。自事業所の体制では安全に続けられないとき、相談支援専門員やケアマネジャー、行政と協議して、より適した支援への移行を、組織として主導します。見捨てるのではなく、より適した場につなぐのです。

訪問の場では、他の職員の目が届かない

さくら
訪問の仕事は、特に難しそうです。
江尾
自宅という場では、職員が一人で入ることが多く、同僚や管理者の目が届きにくい。だからこそ、退避の公認と、すぐに連絡できる手段、複数名での訪問や担当・時間帯の変更といった手立てを、あらかじめ決めておく必要があります。そして、記録に残すこと。「仕方がない」として記録に残さなければ、ケアを見直す機会も、職員を守る機会も失われます。
実務メモ 「症状か攻撃か」で迷ったときの確認
一つ、病名だけで判断していないか。主治医やケアマネジャー、相談支援専門員の意見を確認したか。二つ、症状によると判断した場合も、退避してよい条件と連絡先を職員に伝えているか。三つ、誘因(環境・時間帯・介助手順)をチームで検証し、二人対応や同性介助への切替えを検討したか。四つ、自事業所の体制で安全に続けられない場合に、関係機関と協議する手順があるか。個人の資質の問題にせず、チームで分析すること自体が、職員を守ります。
第4回のまとめ

第一に、病気や障害の症状として現れた言動は、ハラスメント対策ではなく、まず医療・ケアの観点から対応します。病名だけで一律に決めず、専門職の意見を踏まえて組織で判断します。

第二に、症状による言動でも、職員の安全への配慮は別に必要です。ご本人を責めないことと、職員を守ることは両立させます。

第三に、その場を離れる、チームで原因を探す、限界点でつなぐ、の三つの段階で職員を守ります。とくに「その場を離れてよい」ことは、組織として公認しておきます。

第 5 回契約解除の分水嶺 ── 裁判例と、三つの実務上のポイント

「ハラスメントがあれば契約を解除する」と書いておけば安心、と考える事業所は少なくありません。第5回では、サービス提供拒否の考え方を確かめたうえで、裁判例から、解除が認められた事案と認められなかった事案を読み比べます。

夕方、顧問先の居宅介護支援事業所から、重要事項説明書の改定案がメールで届いた。新しく加えられた一文に、赤い下線が引いてある。

「利用者又は家族によるハラスメントがあった場合、直ちに契約を解除します」。さくらは画面を江尾のほうへ向けた。「先生、これで大丈夫でしょうか」。

◇  ◇  ◇
江尾
気持ちはよくわかります。ただ、この一文があるだけで、ただちにサービスを止められるわけではありません。

「正当な理由」という前提

さくら
契約書に書いてあっても、ですか。
江尾
介護保険や障害福祉サービスの指定事業者は、指定基準・運営基準のうえで、正当な理由なくサービスの提供を拒んではならないとされています。厚生労働省は、ハラスメントがあれば直ちに正当な理由になるわけではない一方、事案によっては提供拒否も考えられる、と説明しています。そして、正当な理由により提供が困難と判断した場合でも、適当な他の事業所等を紹介するなど、必要な措置を速やかに講じる必要があります。具体的な措置は、各サービスの基準によります。

裁判例に見る分水嶺

さくら
実際に、契約解除が争われた例はあるのでしょうか。
江尾
専門メディアの解説記事で紹介されている裁判例を、三つ見てみましょう。判決の原文とはまだ照合できていませんので、解説による要約としてお読みください。
表6 契約解除が争われた裁判例
出典:各判決を紹介した専門メディアの解説記事による要約。判決原文との照合は未了です。引用の際は原文で確認してください。
判決 事案 結論 判断の理由(解説による)
東京地裁 平成27年8月6日 介護サービスの利用契約(解説によりデイサービス・訪問介護と記載が分かれる)。利用者の息子がサービス範囲を超える指示を繰り返し、職員を怒鳴り、塩を投げつけた 解除は有効 息子の協力姿勢の問題で信頼関係が失われつつあったことと、職員への暴力行為を重視し、継続は困難とした
東京地裁 令和3年7月8日 有料老人ホーム。入居者の娘が職員への暴言・脅迫・侮辱・威圧的な態度を繰り返した 解除は有効。違約金条項も有効 注意文書を繰り返し送っても改善されなかった。解除後の利用料を2倍とする契約条項も有効とされた
大阪地裁堺支部 平成26年5月8日 障害者の短期入所。利用者が他の利用者から負傷した後、施設が利用日を一方的に制限。その話し合いで父親が大声で抗議し、施設長がその場で契約打切りを告げ、後日、代理人を通じて解除を通知した 解除は無効 約12年続いた契約を事前の協議なく制限されたことへの反応で、重大な背信行為とまでは評価できないとした
さくら
家族の言動でも、解除が認められた例があるのですね。
江尾
ええ。ただ、勝ち負けを一つの要素で読まないことが大切です。裁判所は、言動の重大性や反復性、信頼関係への影響、事業者側の対応の経緯、契約の内容などを踏まえて判断しています。大阪の件では、施設が利用日を一方的に制限し、その話し合いでの父親の抗議を受けて、施設長がその場で契約の打切りを告げ、後日、代理人を通じて解除を通知した経緯が重く見られています。

契約解除を検討する前に確認したい、三つの実務上のポイント

さくら
事業所としては、何を積み重ねればよいのでしょうか。
江尾
法律上の要件というより、実務上のポイントとして三つです。一つめは記録。5W1Hの事実記録を継続して積み上げる。二つめは働きかけ。話し合い、担当職員の変更、書面での改善の申入れ。三つめは受け皿。関係機関と協議し、予告期間を置いて、後任の事業所を紹介する。記録、働きかけ、受け皿は、裁判所の総合的な判断を支える材料になります。
表7 段階的対応の例
段階的対応の例です。実施できる措置は、サービス種別、運営基準、契約内容、危険の程度、代替支援の有無等によって異なります。
段階 内容 押さえること
1 話し合い・口頭で伝える 記録に日時と文言を残す
2 担当変更・書面での申入れ 改善を求め、期限を示す
3 関係機関との協議 ケアマネジャー、相談支援専門員、行政
4 解除の予告と解除 予告期間を置き、後任の事業所を紹介する
さくら
どんな場合でも、この順番どおりに進めるのでしょうか。
江尾
いいえ。いま述べたのは通常の検討手順です。重大な暴行や脅迫などがある場合は、まず職員の安全確保。順序や方法は個別に判断します。福祉・医療では、サービス提供義務と、提供が途絶えることによる生命・健康への影響にも留意してください。
さくら
関係機関に事情を伝えるときに、気をつけることはありますか。
江尾
利用者やご家族の個人情報の取扱いです。誰に、何を、どの範囲で伝えるかを決めてから伝えます。先ほどの「直ちに契約を解除します」は、緊急時の中断と、是正の申入れを経た解除とに分けて書き直しましょう。条文例は、第7回でご紹介します。
実務メモ 契約解除を検討する前に確かめること
一つ、いつ、誰が、何をしたかが、事実として記録されているか。二つ、病気や障害の症状に起因する可能性について、医師等の意見を聴いたか。三つ、担当や訪問の人数・時間帯の変更など、ほかの方法を試したか。四つ、書面で改善を申し入れ、期限を示した記録があるか。五つ、ケアマネジャー、相談支援専門員、市町村等と協議し、解除後の支援の見通しを調整したか。六つ、契約書に定めた予告期間と手続き、関係機関への情報提供の範囲を確認したか。重大な暴行・脅迫などでは、職員の安全確保を優先して、順序や方法を個別に判断します。
第5回のまとめ

第一に、指定事業者は正当な理由なくサービスの提供を拒めません。解除条項を置くだけで、ただちにサービスを停止できるわけではなく、提供が困難な場合は、他の事業所等の紹介など必要な措置を速やかに講じます。

第二に、裁判例では、言動の重大性・反復性、信頼関係、事業者側の対応経緯、契約内容などを踏まえて、解除の有効・無効が分かれています。紹介した裁判例は解説記事による要約で、原文未照合です。

第三に、記録、働きかけ、受け皿の三つを積み重ねることが、判断を支えます。重大な暴行・脅迫などでは、職員の安全確保を優先します。

第 6 回「求職者等」には、実習生が入る ── 求職者・実習生へのセクハラ

10月1日には、改正男女雇用機会均等法により、求職者等へのセクシュアルハラスメントの防止措置も義務になりました。第6回では、毎年実習生を受け入れている福祉の現場にとって、この改正がなぜ決定的なのかを確かめます。

週明け、特別養護老人ホームの施設長から電話があった。来月、県内の養成校から介護実習の学生を四人受け入れるという。毎年のことで、段取りは慣れたものだ。

「ところで先生、10月からの法改正は、実習生にも関係があると聞いたんですが」。受話器を置いたさくらは、均等法の改正資料を棚から引き出した。

◇  ◇  ◇
さくら
先生、施設長さんが、実習生にも法改正が関係あるのか、と。
江尾
大いに関係があります。第2回でお話ししたとおり、求職者等へのセクハラは、カスハラとは向きが逆で、職員から外へ、という問題です。守る相手が、職員の外側に広がったのです。

「求職者等」の三つの範囲

さくら
「求職者等」には、誰が入るのでしょうか。
江尾
三つです。一つめは求職者。求人に応募した人、面接を受ける人です。二つめは、採用に資する活動の参加者。就職説明会、インターンシップ、OB・OG訪問などです。そして三つめが、実習を受ける者。教育実習、看護実習その他の実習で、福祉では介護、保育、社会福祉士などの養成実習も入ります。
さくら
三つめが、福祉には大きいですね。
江尾
決定的です。介護、保育、社会福祉士、精神保健福祉士、看護の養成実習を受け入れている法人は、毎年「求職者等」を受け入れていることになります。なお、専ら教育を目的とする見学などは含まれません。範囲は、改正男女雇用機会均等法と令和8年厚生労働省告示第52号で確かめてください。

就職活動では、約3割が経験している

さくら
実際に、どのくらい起きているのでしょうか。
江尾
厚生労働省の令和5年度「職場のハラスメントに関する実態調査」では、2020年度から2022年度に卒業し、インターンシップ以外の就職活動をした737人のうち、31.9%が就職活動中にセクハラを受けたと答えています。厚生労働省のWebマガジン(2026年9月)でも紹介されている数字です。
さくら
福祉の数字でしょうか。
江尾
いいえ、全産業の数字です。福祉に限ったものではありません。ここから先の福祉の実習についての話は、制度と現場の仕組みから考えた見立てとしてお聞きください。

実習の力関係 ── 評価は、資格に直結する

さくら
実習ならではの難しさは、どこにあるのでしょうか。
江尾
力関係です。実習指導者の評価は、実習の単位に、そして卒業と資格に直結します。だから実習生は、断れないし、言えない。現場で起きうることとしては、日誌の添削を口実に個室へ呼んで身体に触れる、交際や私生活をしつこく尋ねる、「連絡用」と称して個人のLINEやSNSの交換を求める、評価をちらつかせて食事や私的な連絡を求める、といったことが考えられます。
さくら
業界が狭いと、なおさら言えませんね。
江尾
「この業界で働けなくなる」と考えて沈黙することもあるでしょう。これは仮説ですが、声が上がらないことは、起きていないことを意味しません。

法の射程と、その周辺 ── どこまでが義務か

さくら
どこまでが法律上の義務なのでしょうか。
江尾
三つに分けると正確です。
表8 求職者等へのハラスメントの射程
令和8年厚生労働省告示第52号をもとに講師が整理。〔講師の提案〕と付した部分は、指針ではなく講師の提案です。
区分 行為 例
義務 職員から求職者等への性的な言動 面接での交際・結婚の質問、実習指導中の不要な身体接触、私的な連絡の強要
望ましい取組 職員から求職者等へのパワハラ等 日誌の深夜に及ぶ書き直しの強要、人前での人格否定、指導の放置
望ましい取組(指針) 利用者など施設の利用者等から実習生へのセクハラ等 求職者等から相談があれば、必要に応じて適切に対応する。〔講師の提案〕「日常茶飯事」「受け止めるのも勉強」で済ませず、指導者が介入し、養成校と共有する
さくら
利用者から実習生への言動は、義務の中心ではないのですね。
江尾
措置義務の中心ではありませんが、指針も望ましい取組として挙げています。施設の利用者などによるセクハラに類する相談が求職者等からあった場合は、必要に応じて適切に対応することが望ましい、とされています。カスハラに類する相談についても同じです。受入れ法人として放置しないことが大切です。「福祉では日常茶飯事」「これもケアの勉強」という言葉は、二次被害になります。方針は「求職者・実習生へのハラスメント全般」で一本にまとめると、運用しやすいと思います。

法人が負うリスク ── 採用の入口が閉じる

さくら
法人にとっては、どのようなリスクがあるのでしょうか。
江尾
まず法的責任です。加害職員の不法行為(民法709条)に加えて、雇用関係がなくても、法人は使用者責任(民法715条)を問われえます。選任・監督に相当の注意を尽くしたと示せなければ、免れにくい。それから、これは私の見立てですが、面接や実習での言動はSNSや口コミで広がりやすく、次年度の応募に響くおそれがあります。養成校が実習の受入れや推薦を見直せば、将来の採用ルートそのものが細ります。
さくら
人材難の福祉にとっては、採用の入口が閉じる、ということですね。
江尾
そうです。求職者・実習生へのセクハラ対策は、コンプライアンスであると同時に、採用戦略です。

実習・見学・面接の前に決めるルール

さくら
事業所は、何を決めておけばよいのでしょうか。
江尾
義務と具体策を分けてお話しします。義務は、面談や連絡などのルール、つまり時間帯、場所、実施体制、連絡手段などを明確にして、職員と求職者等の両方に周知すること。そして、求職者等が利用できる相談窓口を定めて、周知することです。
さくら
ルールの中身は、法人が決めるのですね。
江尾
ええ。ここからは私の提案で、どれを採るかは法人が決めます。連絡は法人の公式アドレスと電話で行い、個人のLINE等は交換しない。面談や日誌の添削は時間帯を決め、見える部屋で行い、一対一の密室をつくらない。容姿・交際・結婚・出産の話題を持ち出さない。介助指導の身体接触は、事前に説明し、必要最小限にする。懇親の場は原則設けず、設けるなら飲酒や席次を強要しない。実習評価は指導者一人で決めず、複数の職員で行う。面接は事前に決めた質問だけで、複数名で行う。相談窓口を、実習の手引きや募集要項に明記する。養成校の担当教員とも、相談の受け取り方を決めておきます。

道具�C 構造化面接 ── NG質問と言い換え

さくら
面接で気をつけることはありますか。
江尾
福祉の現場では、施設長や主任が面接を兼ねることが多く、研修を受けないまま面接官になりがちです。「家庭的な職場」をアピールしようとして、私生活に踏み込んでしまう。事前に決めた質問だけを使う構造化面接に切り替えましょう。
表9 聞いてはいけない質問と言い換え(例)
講師による例示です。
聞いてはいけない(例) 問題点 聞き方の言い換え
「交際している人はいますか」「結婚や出産の予定は」 性的な言動・性別役割の押しつけ。求職者等へのセクハラになりうる 「早番・遅番・夜勤、土日を含むシフトがあります。提示した条件で勤務できますか」
「写真より実物のほうが…」など容姿への言及 性的な言動にあたりうる 容姿には触れない。職務に必要な事項のみを聞く
「ご両親の職業は」「持ち家ですか」 本人の適性・能力と関係のない事項(公正な採用選考の観点) 聞かない。職務経験・資格・勤務条件の確認に絞る
個人のSNSで選考連絡、夜に飲食店で「アドバイス」 密室化・私的接触の入口。連絡手段・面談場所等のルールを定めることは措置(具体的な方法は法人が決める) 連絡は法人の公式アドレスに限定。面談は施設内で、複数名で
実務メモ 次の実習・面接の前に
一つ、求職者・実習生への性的な言動を禁止する方針と、行為者への厳正な対処方針を定め、就業規則の懲戒事由に「求職者等への性的言動」が含まれているかを確認する。二つ、面談・連絡のルールを定め、面接官・実習指導者と、実習生・応募者の双方に周知する。三つ、求職者・実習生が使える相談窓口を、書面で伝える。四つ、事実確認に協力した職員を不利に扱わないことを明示する。あわせて、求職者・実習生が相談したことを理由に、採否や実習評価で不利益を受けない運用を整える(講師の提案)。
第6回のまとめ

第一に、2026年10月1日から、求職者等へのセクシュアルハラスメントの防止措置が義務になりました。「求職者等」には、応募者、インターンシップ等の参加者に加えて、介護・保育・社会福祉士などの養成実習を受ける実習生が入ります。

第二に、実習指導者の評価は資格に直結するため、実習生は断れず、言えません。声が上がらないことは、起きていないことを意味しません。

第三に、義務は、面談・連絡等のルールを定めて職員と求職者等に周知し、相談窓口を定めて周知することなどです。ルールの具体的な中身と構造化面接は、法人が決める実務として整えます。対策は、採用戦略でもあります。

第 7 回明日から使う、四つの道具 ── 組織で受け止める体制へ

最終回では、ここまでの整理を、現場で使える形にして手渡します。初期対応の言葉、5W1Hの記録、重要事項説明書の条文例、そして被害を受けた職員を二度傷つけないための体制です。いずれも講師の提案で、法人の実情に合わせて調整してください。

夕方の風が、事務所の網戸を抜けていく。さくらのノートには、この数週間で書きためたメモが二十ページを超えていた。

「調べれば調べるほど、やることが多くて」。さくらが苦笑すると、江尾は首を振った。「義務になった措置は、もう実施していることが前提です。そのうえで、効く方向に絞りましょう。今日は、明日から使える道具の話です」。

◇  ◇  ◇
さくら
顧問先から「結局、現場では何を使えばいいですか」と聞かれたら、どうお答えすればよいでしょうか。
江尾
四つの道具をお渡しします。初期対応スクリプト、5W1H記録様式、重要事項説明書の条文例、そして第6回でお話しした道具�C、構造化面接のNG質問リストです。今回は、道具�@から�Bと、それを支える体制をお話しします。

道具�@ 初動の言葉 ── 気持ちには詫び、責任は認めない

さくら
最初の一言が、いちばん難しいです。
江尾
限定的な謝罪を覚えておきましょう。不快な思いや不安に対しては、詫びてよいのです。「ご不安な思いをおかけして、申し訳ございません」「お待たせしてしまい、申し訳ございません」「お話の内容は、しっかり承りました」「事実を確認のうえ、改めてご説明いたします」。
さくら
言ってはいけない言葉もありますか。
江尾
事実確認の前に、責任を認める言葉は言いません。「こちらのミスでした」「すべて園(施設)の責任です」「必ず弁償します」「担当者には辞めてもらいます」。誠実さを捨てるのではありません。確認したうえで落ち度があれば、組織として率直に認めて詫びる。順番の問題です。
表10 不相当な要求への定型の断り(例)
講師による例示です。
求められたこと 返す言葉(例)
土下座しろ 「そのような形での謝罪には、法人の決まりとして応じられません」
担当者を辞めさせろ 「職員の人事は法人が決めることですので、お応えいたしかねます」
今すぐ答えを出せ 「事実を確認したうえで、後日あらためて正式にお答えいたします」
同じ主張の繰り返し・長電話 「同じご説明の繰り返しになりますので、本日はここで終了いたします」
契約外のサービス 「現在の契約・当事業所の提供範囲ではお受けできません。利用できる支援がないか確認します」
相手の名前・連絡先を教えろ 「原則として、相手方の同意なく氏名・連絡先はお伝えしていません。何があり、どう防ぐかを園からご説明します」
さくら
最後の一行は、第3回の保育園のケースの答えですね。
江尾
そうです。「私が」ではなく「法人として」。主語を組織にすることが、職員を守ります。感情を交えずに、同じ言葉で返す。カードにして、受付や電話機の横に置いている法人もあります。

道具�@の補足 その場を離れてよい ── 退避の基準

さくら
その場を離れてよい条件も、決めておくのでしたね。
江尾
上長の判断を待たずに、現場で打ち切ってよい条件を、組織があらかじめ公認しておきます。たとえば三つ。暴言・大声・威圧が続き、制止しても続くか一定時間(たとえば15分)を超えたとき。身体や性的な接触があった、またはその兆候があるとき。物を投げる、叩く、危険物が近くにあるなど、自傷他害や器物損壊の危険があるとき。時間などの数字は、法人ごとに決めて構いません。
さくら
通告の言葉もあると、安心です。
江尾
「安全確保のため、本日の対応はここで終了させていただきます」。離れたあとは、すぐに管理者へ報告し、以後は「組織 対 個人」の構図に切り替えます。

道具�A 5W1H記録 ── 感想ではなく事実で書く

さくら
記録は、どう書けばよいでしょうか。
江尾
感想ではなく、事実で書きます。たとえば、「ご家族がひどい態度で長時間怒鳴り、職員が侮辱された」は感想の記録です。事実の記録は、「11/2 14:05〜15:10、事務所。長男が大声で『無能、今すぐ土下座しろ』と3回。机を2回叩く。退去を2回求めたが応じず」。
表11 5W1H記録様式の欄(例)
講師による例示です。既存の苦情記録に二つの欄を足すだけでも使えます。
欄 書くこと
日時・場所・対応者 開始と終了の時刻、場所、誰が何人で
�@求められたこと 要求の中身(内容の妥当性)
�A伝えられ方 相手の言葉は逐語で。態度・回数・時間(手段の相当性)
こちらの対応と次の手 説明した内容、伝えた文言、報告先、次回の担当
さくら
�@と�Aが、第3回の二つの軸に対応しているのですね。
江尾
そのとおりです。警察も弁護士も行政も、そして裁判所も、見るのは記録です。机を叩いた回数や居座った時間まで、淡々と残します。

道具�B 重要事項説明書・契約書の条文例

さくら
第5回の「直ちに契約を解除します」は、どう書き直せばよいでしょうか。
江尾
緊急時の中断と、契約の解除を分けて書きます。例文をご紹介しますが、条項を置いても解除の有効性は個別に判断されます。運営基準の「正当な理由」や代替支援の確保の手順とあわせて、法人の実情に応じて調整してください。
条文例�@ 緊急時のサービスの中断
利用者又はその家族等の言動により、職員の身体の安全が脅かされるおそれがあるときは、事業者は、職員の安全を確保するため、その場のサービスの提供を中断することができる。この場合、事業者は速やかに利用者又はその家族等に事情を説明し、今後の対応を協議する。
条文例�A ハラスメントを理由とする契約の解除
利用者又はその家族等が、職員に対し、暴力、暴言、威圧的な言動、過大な要求、セクシュアルハラスメントその他の著しい迷惑行為を繰り返し、事業者の書面による是正の申入れにもかかわらず改善されないときは、事業者は、関係機関と協議のうえ、相当の期間を定めて文書で通知することにより、この契約を解除することができる。
条文例�B 録音の告知
サービスの質の向上と正確な記録のため、お電話及び面談の内容を録音させていただく場合があります。
さくら
家族等の言動も対象に入れているのですね。
江尾
第5回の令和3年の判決でも、入居者の娘の言動が問題になりました。家族等を含めておくことが大切です。録音の告知も重要事項説明書で行っておくと、水掛け論の防止になります。

被害を受けた職員を、二度傷つけない

さくら
道具を支える体制として、ほかに必要なことはありますか。
江尾
職員がいちばん深く傷つくのは、相手の言葉よりも、「組織が守ってくれなかった」「自分に落ち度があったように扱われた」という二次被害です。発生した瞬間に、対応を個人から組織へ切り替えます。担当を外し、管理職が前に出る。その利用者や業務からの配置換えを優先する。特別休暇など、休める仕組みを用意する。産業医や外部カウンセラーとの面談を早く設ける。事後の配慮は義務で、具体策は私の提案です。
さくら
言ってはいけない一言もありますね。
江尾
「あなたの対応にも問題があったのでは」「プロなんだから受け流して」。そして、相談したことや事実確認に協力したことを理由に、不利益に扱わない。これは措置義務の内容でもあります。

明日からの三つの一手

さくら
最後に、明日からできることを教えてください。
江尾
義務になった措置を実施していることを前提に、いちばん安く、いちばん効く三つです。一つめは、「その場を離れてよい」を組織として公認すること。退避の三条件と通告の言葉を、次の職員会議で共有します。二つめは、記録様式に二つの欄を足すこと。既存の苦情記録に「求められたこと」「伝えられ方(逐語)」を加えるだけです。三つめは、次の実習・面接の前に、ルールを読み合わせること。連絡手段・面談場所のルールと、相談窓口の案内文を、実習生と応募者に渡します。
実務メモ 自法人チェック(はい/いいえ)
以下は法定措置そのものの一覧ではなく、運用状況を確認するための講師の点検項目です。
一つ、カスハラ対応の基本方針を定め、職員に周知した。二つ、特に悪質な事案に対処できる体制(責任者・連絡先)がある。三つ、利用契約・重要事項説明書に、家族等を含むハラスメント条項がある。四つ、現場で打ち切り・退避してよい基準と、その言葉を決めている。五つ、記録様式に「内容」と「手段」を分けた欄がある。六つ、就業規則の懲戒事由に、求職者等への性的言動を含めた。七つ、面談・連絡のルールを定め、面接官・実習指導者に周知した。八つ、求職者・実習生が使える相談窓口を書面で伝えている。九つ、相談・協力したことで不利益を受けないと明示している。十、警察・弁護士・社労士・行政・養成校の連絡先を整理している。
さくら
職員を守ることが、利用者を守ることにもつながるのですね。
江尾
ええ。職員の心身を犠牲にして成り立つ支援から、職員を守ることを前提にした支援へ。便利なひな形をお渡しして終わりにせず、その事業所の利用者と職員の顔を思い浮かべながら、一緒に考えていきましょう。
第7回のまとめ

第一に、初動では、気持ちには詫び、責任は事実確認の後に。不相当な要求には「法人として」定型の言葉で断り、その場を離れてよい条件を組織として公認しておきます。

第二に、記録は感想ではなく事実で、「求められたこと」と「伝えられ方」を分けて残します。重要事項説明書では、家族等を含め、緊急時の中断と契約の解除を分けて定めます。

第三に、被害を受けた職員を二度傷つけないよう、発生した瞬間に個人から組織へ切り替えます。相談や事実確認への協力を理由とする不利益取扱いはしません。職員を守ることが、利用者を守ることになります。

監修
社会保険労務士 江尻育弘
社会保険労務士健康経営エキスパートアドバイザー医療労務コンサルタント
カスタマーハラスメント対策のご相談を承っております

ハラスメント対応方針の作成、重要事項説明書・契約書の見直し、初期対応スクリプトと記録様式の整備、採用面接と実習受入れのルールづくり、管理者・職員向けの研修について、事業所の実情に合わせてお手伝いします。江尻までお気軽にご相談ください。

【出典】改正労働施策総合推進法・令和8年厚生労働省告示第51号/改正男女雇用機会均等法13条・令和8年厚生労働省告示第52号/労働契約法5条、民法709条・715条、個人情報保護法27条、障害者差別解消法、各サービスの運営基準/厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」「公正な採用選考の基本」「介護現場におけるハラスメント対策」/厚生労働省 老人保健健康増進等事業「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」(三菱総合研究所、令和4年3月改訂)/UAゼンセン・ヘルスケア労協「患者・利用者・家族からのカスハラ調査報告書」(2023年秋〜2024年1月実施)/労働政策研究・研修機構「ビジネス・レーバー・トレンド」2024年8・9月号/厚生労働省「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査」(2025年8月の正誤表を反映した版)/総務省「地方公共団体における各種ハラスメントに関する職員アンケート調査」(2024年11〜12月実施)/沖縄県「カスタマーハラスメント対策基本方針」(令和7年3月)

【裁判例】東京地判平成27年8月6日、東京地判令和3年7月8日、大阪地堺支判平成26年5月8日(専門メディアの解説記事による要約。判決原文は未確認)

※ 本資料は、公表された資料に基づく理解のための解説です。サービス提供の拒否や契約解除の可否など、個別事案の判断は事実関係により異なります。具体的な対応は、実情に応じて別途ご相談ください。
※ 沖縄の地域事情(地域の近さ、しまくとぅば、親族の結びつき、代わりがない地域)に関する記述は講師の経験からの仮説であり、県内の調査で確かめられたものではありません。
※ ケースは架空の設定です。
※ UAゼンセン・ヘルスケア労協共同調査の調査期間は、JILPTの紹介記事では2023年11月〜2024年1月、調査実施団体による掲載資料では2023年10月〜2024年1月と記載されています。
※ 本文中の制度に関する記述は、2026年10月末時点の情報によります。

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社会保険労務士 江尻事務所