厚生労働省の労働政策審議会 労働条件分科会では、労働時間法制の見直しに向けた議論が進んでいます。勤務間インターバル、連続勤務規制、裁量労働制、変形労働時間制、副業・兼業、そして過半数代表者や年次有給休暇。改正案が形になるまで、同じ話題が何度も報じられます。
なぜ、決まる前からお伝えするのか
法改正は、決まってから動くと、選べません。施行日は、他人が決めた期限です。そこへ向けて、就業規則の改定も、協定の結び直しも、給与計算の変更も、職員への説明も、一度に押し寄せます。決まる前に知っていれば、順番も時期も自分で決められます。同じ作業でも、負担がまるで違います。
もうひとつ、大きな意味があります。審議会が論点に挙げるのは、そこが全国的に綻んでいる場所だからです。つまり審議会の資料は、法改正の予告であると同時に、自法人の弱いところを指し示す地図でもあります。第1号の過半数代表者は、その典型でした。
そして肝心なのは、議論されている論点の多くが、現行法令でもすでに求められている水準の徹底から始まっていることです。先に整えても、無駄になりません。改正が来なくても、監督署の調査や職員からの申出に耐えます。来たときには、そのまま通用します。前倒しの備えは、二重に効きます。
予防の要は、手続と記録です。どちらも、何か起きてからでは作れません。この連載をお届けしているのは、慌てて直す側ではなく、静かに備えている側でいていただきたいからです。作業を請け負うためではなく、ご一緒に考えるための材料として、お使いください。
各号は、各回の資料をもとに、何が議論されたか・それが今どの確定度にあるか・今やるべきことと今はやらなくていいことの三つに整理しています。医療機関・社会福祉法人の実務に引きつけた解説です。ご覧になりたい号をお選びください。
分科会が開かれるたびに、医療機関・社会福祉法人の実務に引きつけて解説しています。
第 1 号過半数代表者の選び方が、法律に格上げされるかもしれない36協定や変形労働時間制、年休の労使協定を結ぶ相手である過半数代表者。その選出手続を法律そのものに規定するかどうかが、正面から議論されました。法改正を待たずに今日から手を打てる論点です。自社診断10のチェック付き。労働条件分科会(第211回・令和8年9月16日)資料より/2026年9月18日› 第 2 号年休の賃金の出し方が、一本化されるかもしれない年次有給休暇を取得したときに支払う賃金を、原則として「通常の賃金」とする案が示されました。同じ1日の休みでも算定方法の違いで5,217円の差が出る試算です。パート・登録ヘルパー・嘱託職員の多い職場ほど、影響が大きく出ます。労働条件分科会(第211回・令和8年9月16日)資料より/2026年9月›分科会で今後議論される予定の論点と、一次情報へのご案内です。
労働条件分科会は、労働時間法制の各論点を月2〜3回程度の頻度で議論していく方針です。次の論点が順に取り上げられる予定で、資料が公表され次第、医療機関・社会福祉法人版としてレポートにしてまいります。
勤務間インターバル制度連続勤務規制つながらない権利裁量労働制変形労働時間制副業・兼業テレワーク・フレックスタイム制法定休日資金移動業者の口座への賃金支払
次号は、勤務間インターバルと連続勤務規制を予定しています。
各号に記載している「確定度(◎○△)」は、審議会の決定ではなく、これまでの議論の経過を踏まえた弊事務所の見立てです。今後の議論により結論が変わる可能性があります。