真・報連相ー質の高い仕事の進め方ー vol.01
「情報の共有化を深める」〜ある住宅建設会社の事例
社会保険労務士 江尻事務所
(社)日本報連相センター会員(NHC503)
上江田晋作
職場において「報連相」は基本とされています。では、実際にどのようなことを言うのでしょうか。また、何のために必要なのでしょうか。
「真・報連相」は従来の報連相とは異なり、「質の高い仕事の進め方」を意味しています。
職場全体の仕事の進め方の質を高めるためには情報の共有化が欠かせません。
その方法として、今回はある住宅建設会社の事例をご紹介します。
=================================================================日頃、親会社の人から「伝達が悪い」との声を聞くことがあり、その度に少し悔しさを感じ、良くしたいと思い続けていました。
真・報連相の研修ということもあって「伝える方法・手段」を考えようということになりました。ほぼ社員全員に参加していただき、様々な人の意見を聞いたり、話したりしているうちに「すぐ近くで仕事をしていても課を離れると何をやっているのかわからない」ということを知りました。
共有する・伝達する情報は以下3つのレベルに分けられます。
- 事実レベル
- 意味(目的)レベル
- 気持ち(思い)レベル
この3つを伝えて初めて「伝える方法・手段」が満たされると言えます。
例えば、社内で「工期はいつまでですか?」と聞かれたとき、以下のような答え方になります。1. 事実レベル → 「契約工期は12/1〜3/31までです。3/31までの引渡しです。」
2. 意味レベル → 「契約工期は12/1〜3/31までだけど、仮住まいを3月末までしか借りてないから、3/31までには間違いなく引渡るようにしなければならない。」・・・絶対に遅らせることができないということがわかる。
3. 気持ちレベル → 「契約工期は12/1〜3/31で、仮住まいを3月末までしか借りてないそうだ。3/31ギリギリの引き渡しでは引越しが大変そうだから、3/25に引きは渡せるように頑張ろう」・・・相手のことも考えて、早めに引き渡せるように頑張ろう、という気持ちの共有。
事実を踏まえ、意味を知り、何かプラスアルファを付け加えることが気持ちレベルの情報であり、我々が目標とする「情報の伝達・共有化」だと思います。
そこで3つのキーワード「事実・Fact」「意味・Sense」「気持ち・Sensation」の3つの頭文字を取り、伝達書式を「FASSシート」と名付けました。この「FASSシート」を使うことによって情報の事実や意味に気持ちを込めて伝達し、目標に近づけるよう邁進していきたいと思います。
=================================================================ただ事実のみを共有するのではなく、その意味と気持ちまで共有できると仕事もスムーズに進むのではないでしょうか。
報連相の本質は「情報の共有」であり、それを意識して行うためには、目的思考や共有深度などが必要となってきます。そのために、従来の「報連相」とは異なる「真・報連相」は非常に有効です。