真・報連相ー質の高い仕事の進め方ー vol.02
「情報の共有化を深める」〜ある営業所の事例
社会保険労務士 江尻事務所
(社)日本報連相センター会員(NHC503)
上江田 晋作
「真・報連相」は従来の報連相とは異なり、「質の高い仕事の進め方」を意味しています。
職場全体の仕事の進め方の質を高めるためには情報の共有化が欠かせません。
その方法として、今回はある営業所が1泊2日で行なった研修の事例をご紹介します。
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研修は課の「強みと弱み」の現状把握から始まり、その「原因」究明へ進みました。そして、どのような課にしたいのかという「課の目標づくり」へと移りました。そのためには皆で何をするのかという、「具体策作り」まで進んだころには、一体感が高まり、雰囲気はどんどん盛り上がってきました。
研修はしだいに深まり、所期の効果をあげて終了しました。そして、打ち上げをやって解散しまいした。最後に皆で感想を述べ合ったのですが、ある営業所のA子さんの発言と所長さんの言葉が印象的でした。
A子「ここで2日間、夜遅くまで徹底的に課内のことを話し合って、疲れたけど気持ちはとってもすがすがしいです。入社して4年目ですが、はじめて、営業の皆さんがどんなことをしているのか、よくわかりました。所長がどんなことで悩んでいたのかもわかりました。留守番をしているとき、電話でもどのように対応したらいいのか、わかりました。」
所長「A子さん、ありがとう。」
A子「今度から、月曜日の夜の会議に私も出させてください。」
所長「ほんと・・・。では、来週から参加してください。環境は厳しいが、なんとか目標を達成できそうな気がしてきたよ。」
A子さんだって、電話の対応やビジネスマナーをわきまえて、きちんとやっていたと思います。しかし、他の課(営業)の皆がどんなことをやっているのか、何を考えているのか。あのお客様とはどんな問題が起こっているのか。所長は何を目指しているのか・・・。それらがわかった今、お客様との対応には一段と深みが出てくることでしょう。
これまでは、所長も営業マンも、今どのようなことで苦労しているのか、詳しいことは伝えていなかったのです。A子さんの方も、私の仕事は与えられていることを、いつも通りやれば終わり、と思っていたのでした。
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自分の仕事を一生懸命こなすのは素晴らしいことですが、他の仲間にも目を向けなければなりません。今回のケースでは2日間という期間で徹底して議論を行うことで、事実だけでなく気持ちまで共有できたのではないでしょうか。
報連相の本質は「情報の共有」であり、それを意識して行うためには、目的思考や共有深度などが必要となってきます。そのために、従来の「報連相」とは異なる「真・報連相」は非常に有効です。