真・報連相ー質の高い仕事の進め方ーvol.08 自己の報連相の仕方を振り返る
社会保険労務士江尻事務所
(社)日本報連相センター会員(NHC503)
上江田晋作
企業人にとっての最大の環境は上役なり
「相手が相談に乗ってくれない」「上司が聞く耳をもたない」「部下がさっぱり働かない」といっても、もしかしたら自分の影響下にいるときの彼らがそうなのかもわかりません。自分以外のもっと優秀な幹部がこのポストにいたら、部下の動きは変わっている、ということは十分あり得ることです。部下をみている、職場をみているといっても、客観的な部下をみているのではありません。あくまでも「自分の影響下にある部下」をみているのです。
「企業人にとっての最大の環境は上役なり」という名言があるように、人の行動は、その人と、その人が置かれている環境との関数である、と言われます。部下の報連相が良いとか悪いとかいってみても、そうさせているのは上役自身でもあるのです。
相手の報連相が悪いのは、上役である自分が、どのような報告の仕方を求めているか、どのような内容・表現を期待しているのか、常日頃よく知らせていないことが原因かもわかりません。相談に来ないのも、相談し難い雰囲気を自分が作っている場合があります。部下の報連相の適否は、半分は上司次第と言えます(半分は、部下次第です)。
自己の姿勢の振り返り
あなたは普段の仕事で、相手と誠実に向き合い、必要な場合には寄り添う姿勢がとれますか? 報連相をする際には、「考え方」や「やり方」だけでなく、「あり方(=姿勢)」を大切にしたいものです。
「相手と報連相をしている自分の“心身の方向”はどうなっているか?」を自問することで、自分の「あり方」を客観視することができます。 相手と報連相をする際の“心身の方向”には、次の「3つの方向」があります。相手に対する「心、あるいは心身」の方向です。
【3つの方向(自己の振り返りのポイント)】
●相手と誠実に向き合っていない(このようなことはないか)
●相手と誠実に向き合っているか
●必要な場合には、相手に誠実に寄り添っているか
「相手と誠実に向き合う」ことが、真・報連相の基本姿勢です。心が大切です。身体だけ向き合っていても、他の事を考えていたり、うわの空状態では、質の高い報連相はできません。誠実に向き合うことが大切です。この基本姿勢の上に、「必要な場合には、寄り添う姿勢」が、自然体でとれることが望まれます。
報連相の本質は「情報の共有」であり、それを意識して行うためには、目的思考や共有深度などが必要となってきます。そのために、従来の「報連相」とは異なる「真・報連相」は非常に有効です。