真・報連相ー質の高い仕事の進め方ーvol.07 発信は、連絡ではない
社会保険労務士江尻事務所
(社)日本報連相センター会員(NHC503)
上江田晋作
社内やお客様とのやり取りの中で、このような事例に心あたりはありませんか。
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ある日、佐藤さんは、課長から呼び止められました。
課長「佐藤さん」
佐藤さん「はい、なんでしょう?」
課長「今朝頼んでおいた商品の不具合の件だけど、工場の山田課長に連絡してくれた?」
佐藤さん「はい。すぐにメールで連絡しておきました」
課長「まだ何も言ってこないな。こっちもお客様に対応しなきゃいけないのに…」
その1時間後
佐藤さん「課長、工場に連絡したら、山田課長は今日はお休みだそうです」
課長「なんだって!それなら、すぐに島中係長か、片岡部長に連絡だ。……まったく......」
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1.連絡とは、伝えたい内容とその意味が相手に届くこと。
つまり、「情報の共有化」です。
・「メールを送っておきました」
・「FAXを送信しました」
・「手紙を出しました」(ポストへ投函しました)
・「不在でしたので、伝言を頼んでおきました」
これらは、いずれも発信です。連絡したことにはなりません。伝えたい「内容」と「その意味」が、相手に届いてこそ「連絡」です。
2.重要な連絡には、受信確認が必要
メールやFAXの末尾に、たとえば「この件についての、返信をお待ちしております」と、返信を求める趣旨の一文を書き込んでおくのは、一つの方法です。ただし、この方法では、返信という相手の行動を待つわけですから、返事がない場合もありえますし、返信が遅いと不安です。
結局、電話との併用が一番現実的な方法です。重要かつ緊急な内容であれば、メールやFAXの発信後に、しばらくしてから、内容を了解していただいたかどうか「今朝ほど、FAX(またはメール)を1枚送信しましたが、ご覧いただきましたでしょうか?」と「確認の電話」をしてください。逆に、先に電話で用件が済んだ場合でも、内容によっては、日時、場所、数量とかを後でメールあるいはFAXという記録に残るもので送信しておきましょう。相手が確認しやすいような処置をとっておけば万全です。
また、その相手先がメールをしっかり確認する人、忙しくてメールを確できない人などその人の普段の行動や状況も考慮して連絡をする必要があります。何のための連絡なのか、連絡した後のことも考えて行なっていきましょう。
報連相の本質は「情報の共有」であり、それを意識して行うためには、目的思考や共有深度などが必要となってきます。そのために、従来の「報連相」とは異なる「真・報連相」は非常に有効です。