真・報連相ー質の高い仕事の進め方ーvol.10 情報によるマネジメント
社会保険労務士江尻事務所
(社)日本報連相センター会員(NHC503)
上江田晋作
情報によるマネジメント
========================================================
西順一郎先生は、戦略マネジメントゲームを創られた方です。
先生は、独立されて、(株)西研究所を設立されましたが、自宅でもお得意様との連絡とか日程管理などの事務があります。それを奥様が手伝っておられました。
「ある日、我が家で家内の電話のとり方を見ていると、今ひとつ丁重さが足りないような気がしないでもない。そこで、・・・した」
これは、西先生の著書の、日程管理についての一節です。この「・・・した」というところですが、先生は一体なにをされたのでしょうか。
あなただったら、どうしますか。
A:ビジネスマナーのビデオでも借りてきて、一通り勉強してもらおう。
B:短期の秘書講座でも受けてビジネスの基本を体系的に学習し、理解を深めてもらう。
C:「いまの話し方は丁寧で感じが良かったよ」気のついた都度、アドバイスしてあげる。
このABCは、いずれも有効な方法ですね。他にはありませんか? 西先生は、A、B、Cどれも採られなかったのです。 先生は、【日程管理の記入欄に、料金の欄を付加】されました。これによって、いま奥様が受け答えされている客先の重みがわかるようにされたのです。「以後、彼女の態度が一変したのはいうまでもない」と書かれています。(西順一郎著「思想のある経営」ソーテック社刊)
A社は、昨年研修を5回実施して、〔○○○万円〕いただいた。B社は、講演を3回頼まれて、〔・・・万円〕振込みがあった。D社は、昨年はなかったが、今年の有望顧客である。〔◎印〕C社は、こちらのミスで、謝っている最中だ。
上司は「最重要顧客である」「こちらのミスでトラブルが起こり謝っている最中」など、その情報によって判断して、「もっと丁寧に」とか、「今日中に完成するように」とか、「簡単すぎる。詳しく書き直せ」とか、指示を出しています。 その判断の基になっている情報を、もっと部下に知らせること。それが「情報によるマネジメント」の考え方です。
これは、上から下への連絡です。情報があれば、部下は、大抵のことについて上役と同等の判断はできるものです。すべてとは言いませんが、上役の持っている情報で部下に知らせてもよいものが、まだまだ残ってはいないでしょうか? 「そういう背景があったのか。それを早く教えてくれていれば、この仕事はもっと効率よくできたのに・・・」というのが部下の声です。