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沖縄 労働市場 統合モニタリングレポート

令和8年5月分 / 経営者向けエグゼクティブ版1 / 4 ページ・結論

主要指標(令和8年5月)

有効求人倍率(季調)

1.11

前月比▲0.01ポイント

実質賃金(試算・4月)

+2.7%

共通事業所ベース

那覇市CPI

+1.4%

帰属家賃を除く総合

45歳以上比率

53.2%

有効求職者に占める


今月の最重要メッセージ

市場全体は縮小が続く一方、実質賃金はプラスを維持しています。

新規求人数は前年比▲10.5%と13か月連続の減少、有効求職者数は▲6.6%と20か月連続の減少となり、求人・求職がともに縮む局面が続いています。就職件数も▲6.0%と2か月連続の減少で、3月の年度末増加は一時的でした。一方、実質賃金(試算)は+2.7%とプラスを保っており、物価上昇を上回る処遇を示せる企業には採用面の優位が続いています。


今月の3つの示唆

@  採用戦略

求職者の53.2%が45歳以上です。ミドル・シニア層を主軸に据えた採用設計が引き続き有効です。

A  賃金・処遇

実質賃金プラスの局面です。4月の定期昇給を実施済みの場合は、10月の最低賃金改定に向けた原資の確保を検討する時期です。

B  定着(リテンション)

所定外労働時間が全産業+21.1%と増加しています。新年度の残業実績を月次でモニタリングする体制の整備を推奨します。


今月の特記事項

有効求人倍率(季調)は1.11倍で前月比▲0.01ポイントとわずかに低下し、求人の落ち着きが続いています。新規求人数は▲10.5%と13か月連続で減少し、3月の年度末増加は一時的であったことがうかがえます。医療・福祉の新規求人は前年比▲3.3%と縮小が続いていますが、内訳をみると医療業は+1.1%とプラスを維持し、介護・社会福祉事業(▲5.8%)とで動きが分かれています。

沖縄労働局は7月に合同企業説明会「ライフスタイル×キャリアフェスタ」(7/16、参加12社)や、新規高卒予定者向け合同企業説明会(7/6〜7/7、参加135社)、看護職の働くを応援するジョブセミナー(7/21)などを予定しています。人材確保にお悩みの場合、これらのイベントをご確認いただけます。

 

本レポートは沖縄労働局「労働市場の動き」、沖縄県企画部統計課「毎月勤労統計調査地方調査」、総務省統計局「那覇市消費者物価指数」の公表データに基づき作成しています。実質賃金の試算値は簡易計算(共通事業所ベースのきまって支給する給与前年同月比+3.7% − 那覇市CPI(帰属家賃を除く総合)4月分+1.0%)であり、毎勤付表2-1の本系列実質賃金(+11.5%、サンプル入替効果を含む)とは異なります。

社会保険労務士 江尻事務所 / confidential

 

沖縄 労働市場 統合モニタリングレポート

令和8年5月分 / 経営者向けエグゼクティブ版2 / 4 ページ・外部環境

採用市場の動き

有効求人倍率(季節調整値・就業地別)は1.11倍で、前月から0.01ポイント低下しました。新規求人倍率も1.84倍と前月から0.05ポイント低下しています。月間有効求人数(原数値)は31か月連続、新規求人数(原数値)は13か月連続で前年比マイナスとなり、求人・求職がともに縮む局面が続いています。就職件数も2か月連続で前年比マイナスとなりました。

指標

当月値

前月比/前年同月比

有効求人倍率(季調)

1.11倍

前月比 ▲0.01ポイント

新規求人倍率(季調)

1.84倍

前月比 ▲0.05ポイント

月間有効求人数(原数値)

27,983人

前年比 ▲5.1%(31か月連続減)

新規求人数(原数値)

9,122人

前年比 ▲10.5%(13か月連続減)

月間有効求職者数

27,240人

前年比 ▲6.6%(20か月連続減)

就職件数

1,318件

前年比 ▲6.0%(2か月連続減)


業種別の主要動向(資料4-2)

業種別の新規求人数(前年同月比)を見ると、運輸業・郵便業(+14.7%)が増加した一方、宿泊業・飲食サービス業(▲20.6%)、卸売業・小売業(▲29.8%)、サービス業(他に分類されないもの)(▲15.5%)は大きく減少しました。医療・福祉も▲3.3%と縮小が続いていますが、内訳では医療業が+1.1%とプラスを維持しています。

業種

新規求人数

前年同月比

医療・福祉

3,137人

▲3.3%

サービス業(他に分類されないもの)

1,058人

▲15.5%

卸売業・小売業

844人

▲29.8%

宿泊業・飲食サービス業

797人

▲20.6%

建設業

676人

▲3.8%

運輸業・郵便業

545人

+14.7%


地域別の温度差(本体・第4表)

ハローワーク別の有効求人倍率(原数値)には地域差があります。宮古が2.02倍と県内最高で、前年から上昇した一方、八重山は前年から低下しました。離島間で対照的な動きがみられる点が今月の注目点です。

ハローワーク

倍率

前年同月差

コメント

宮古

2.02倍

+0.12

県内最高水準に上昇

八重山

1.46倍

▲0.18

前年から低下

名護

1.27倍

±0.00

前年と同水準

那覇

1.02倍

+0.02

緩やかに上昇

沖縄(中部)

0.87倍

+0.02

1倍を下回る状況が継続


賃金と物価の動き

毎月勤労統計(沖縄県・令和8年4月分)の現金給与総額は前年同月比+12.6%と大きく増加していますが、この大幅増は実質的な賃上げではなく、パートタイム労働者数が前年比▲17.5%と急減したことによる構成効果(賃金の高いフルタイム比率が高まったことによる押し上げ)が主因です。サンプル入替効果を除いた共通事業所ベースのきまって支給する給与は+3.7%で、これが実勢に近い数値です。那覇市CPI(持家の帰属家賃を除く総合)は4月時点で+1.0%上昇しており、共通事業所ベースの賃金上昇率が物価上昇率を上回るため、実質賃金(試算)は概ね+2.7%のプラスとなっています。

 

社会保険労務士 江尻事務所

出典:沖縄労働局「労働市場の動き 令和8年5月分」、沖縄県企画部統計課「毎月勤労統計調査地方調査 令和8年4月分」、総務省統計局「那覇市消費者物価指数 令和8年5月分」

 

沖縄 労働市場 統合モニタリングレポート

令和8年5月分 / 経営者向けエグゼクティブ版3 / 4 ページ・自社へのヒント

職種別の人手不足ランキング(資料10)

どの職種で採用が特に難しいか、求人倍率(新規求人数÷新規求職者数)でご確認いただけます。倍率が高いほど「求職者1人あたりの求人数が多い=採用競争が激しい」を示します。

職種

新規求人

新規求職

求人倍率

状況

建設従事者(躯体除く)

138人

15件

9.20倍

深刻な不足

建設躯体工事従事者

64人

9件

7.11倍

深刻な不足

介護サービス職業従事者

774人

153件

5.06倍

深刻な不足

電気工事従事者

136人

31件

4.39倍

不足

保健医療サービス職業従事者

112人

28件

4.00倍

不足

自動車運転従事者

333人

101件

3.30倍

不足


職種別の賃金ギャップ(資料11、フルタイム月給)

求職者が希望する月給と、求人票に記載されている月給の差です。「求人>希望」の職種は、求職者が「条件の良さに気づいていない」可能性があり、求人広報を強化する余地があります。

職種

求職希望

求人平均

差額

示唆

情報処理・通信技術者

251,154円

356,797円

+105,643円

広報強化

建設従事者(躯体除く)

228,571円

305,716円

+77,145円

広報強化

建築・土木・測量技術者

290,400円

361,100円

+70,700円

広報強化

看護師(保健師・助産師含む)

236,818円

255,981円

+19,163円

条件訴求

介護サービス職業従事者

206,489円

213,414円

+6,925円

条件訴求

接客・給仕職業従事者

215,938円

259,936円

+43,998円

条件訴求


企業規模別の構成(参考)

沖縄県の新規求人は依然として小規模事業所(29人以下)に集中しており、5月の就業地別新規求人9,122人のうち29人以下が5,767人(63.2%)を占めています。中堅・大規模企業(300人以上)の合計は490人(5.4%)にとどまり、中小企業への集中がさらに強まっています。中小企業同士の採用競争が市場の主戦場となっています。


今月の活用ポイント

「求人条件が伝わっていない職種」と「不足が深刻な職種」を分けて考える時期です。

情報処理・建設関連の技術職では、求人賃金が求職者の希望を大きく上回っており、求人票の見せ方や情報発信の工夫だけで採用優位を作れる余地があります。一方、介護・建設・電気工事のように求人倍率が高く人手不足が深刻な職種では、賃金水準そのものに加え、勤務時間の柔軟性や教育体制など総合的な処遇の可視化が採用力につながります。

 

社会保険労務士 江尻事務所

本ページのデータはすべて沖縄労働局「労働市場の動き 令和8年5月分」資料10・11・4-2に基づきます。

 

沖縄 労働市場 統合モニタリングレポート

令和8年5月分 / 経営者向けエグゼクティブ版4 / 4 ページ・次の一手

今月のアラート・チェックリスト

経営者ご自身で、自社の状況を点検したいときにご活用ください。

確認項目

今月の市場の状況

対応の目安

実質賃金がマイナスになっていないか

プラス(試算+2.7%)

【良好】

医療・福祉の充足状況

求人▲3.3%・人手不足継続

【要モニタ】

新年度の残業実績のモニタリング体制があるか

全産業 所定外労働時間+21.1%

【要対応】

パートタイム比率の急変動がないか

28.4%(前年差▲6.0ポイント)

【要対応】

処遇改善加算の申請時期

次回申請に向け準備

【確認推奨】

離職率の動き

全産業 離職率6.01%(前年差+1.08P)

【要モニタ】

八重山地域の倍率低下

1.64倍→1.46倍(▲0.18ポイント)

【要モニタ】

宿泊・飲食、卸売・小売の新規求人減

▲20.6%・▲29.8%(前年同月比)

【要モニタ】


次の一手のヒント

今月のデータから読み取れる、貴社で次に検討いただきたいアクションを整理しました。

@ 求人票の見直し(採用戦略)

情報処理・建設関連の技術職などで賃金優位がある場合、求人票での見せ方が成果を左右します。求人賃金が求職者の希望水準を上回っていることを職種カテゴリーや福利厚生欄で明示することで、応募増につながります。新年度の採用が一巡した今は、これまでの反応を踏まえて求人票を見直す好機です。


A 賃金改定タイミングの検討(賃金・処遇)

実質賃金(試算)はプラスの局面ですが、那覇市CPI(持家の帰属家賃を除く総合)は+1.4%上昇しており、生活実感としては物価高が続いています。4月の定期昇給を実施済みの場合は、10月の最低賃金改定に向けて改定原資の確保と影響試算を始める時期です。賃上げに余裕がない場合は、業務改善助成金やキャリアアップ助成金の活用もご検討いただけます。


B 残業実績のモニタリング(定着・リテンション)

全産業の所定外労働時間が前年同月比+21.1%と高い水準で増加しています。特に宿泊業・飲食サービス業は+76.8%、製造業は+64.4%、運輸業・郵便業は+33.3%と突出しています。年度前半のいまは、まず新年度の残業実績を月次で把握する体制を整え、次年度の36協定見直しに向けて業界水準との比較を始める時期です。残業増加は短期的には人手不足の補完になっても、中長期的には離職リスクや健康障害リスクを高めます。

 

本レポートは、沖縄労働局「労働市場の動き(令和8年5月分)」、厚生労働省「毎月勤労統計調査 地方調査(沖縄県・令和8年4月分)」、総務省「消費者物価指数(那覇市・令和8年5月分)」の公表データに基づき作成しています。実質賃金の試算値は簡易計算(共通事業所ベースのきまって支給する給与前年同月比+3.7% − 那覇市CPI(持家の帰属家賃を除く総合)4月分+1.0%)であり、毎勤付表2-1の本系列実質賃金(+11.5%・サンプル入替効果を含む)とは異なります。各数値は当月速報値のため、確報公表後に改定される場合があります。

本レポートのデータについてのご質問、貴社の状況に応じた個別のご相談は、江尻までお気軽にご相談ください。

社会保険労務士 江尻事務所