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沖縄の医療・福祉の求人と採用環境【対話で読む解説版】 令和8年9月分

〜医療と介護で分かれた求人の動き。江尾社労士とさくらが読み解く〜

医療法人・社会福祉法人の経営者向け 解説版出典:沖縄労働局「労働市場の動き」令和8年9月(令和8年10月30日公表)解説:社会保険労務士/医療労務コンサルタント/健康経営エキスパートアドバイザー 江尻事務所

医療業・介護事業を運営される事業者の皆さまに向けて、沖縄労働局「労働市場の動き」令和8年9月分から、医療・福祉分野の求人・需給・募集賃金の動きを読み解きます。今月は、介護事業の求人が前年を上回った一方で、医療業は前年を下回りました。社会保険労務士の江尾と、事務所スタッフのさくらの対話で、グラフを見ながら分かりやすく解説します。

江尾
江尾社労士
社会保険労務士。統計の数字の裏側を、経営者目線で読み解く。
さくら
スタッフ さくら
事務所スタッフ(27歳)。顧問先様に説明できるよう、江尾社労士に質問しながら学んでいる。
今月のいちばんの注目点

介護事業(社会保険・社会福祉・介護事業)の新規求人は常用ベースで前年同月比+4.0%と5か月ぶりに前年を上回り、医療業は▲3.9%と前年を下回りました。看護師は求職者が増えて求人倍率が2.52倍(前月3.35倍)に下がった一方、介護関係は4.88倍(前月4.79倍)と上がり、介護の採用の厳しさは続いています。

医療・福祉の新規求人数
2,941人
前年同月比 +1.9%(全数)
介護サービス職の求人倍率
4.60倍
求人791人/求職172人
看護師の求人倍率
2.52倍
前月3.35倍から低下
介護サービス求職者の45歳以上
72.1%
前月70.4%から上昇

1.医療と介護で、求人の動きが分かれた

さくら
スタッフ さくら
江尾先生、9月分の医療・福祉の求人はどうでしたか。医療法人や社会福祉法人の顧問先様から、よく聞かれるところです。
江尾
江尾社労士
医療・福祉の新規求人数(全数)は2,941人で、前年同月比+1.9%でした。全産業の新規求人9,114人の約3分の1を占めています。注目したいのは内訳で、社会保険・社会福祉・介護事業は1,948人(+5.5%)と増えた一方、医療業は980人(▲4.2%)と減りました。
指標 当月値 前年同月比
医療・福祉 新規求人数(全数) 2,941人 +1.9%
 うち常用 2,861人 +1.0%
 うち医療業 980人 ▲4.2%
 うち社会保険・社会福祉・介護事業 1,948人 +5.5%

出典:資料4-2(就業地別・産業別・全数)。

さくら
スタッフ さくら
医療と介護で、方向が逆になったのですね。これまでの流れではどうなのでしょうか。
江尾
江尾社労士
常用ベースの前年同月比で並べると、介護事業は7月▲9.9%、8月▲4.1%、9月+4.0%と、減少幅を縮めてプラスに転じました。前年を上回ったのは4月以来、5か月ぶりです。医療業は7月▲15.8%、8月▲3.2%、9月▲3.9%と、前年割れが続いています。
医療・福祉 新規求人数の前年同月比推移(就業地別・常用ベース)医療業と社会保険・社会福祉・介護事業

出典:資料6-2(令和8年9月分・就業地別・産業別・常用・前年同月比)。原典の値のみを使用しています(推定・補間なし)。

さくら
スタッフ さくら
グラフで見ると、毎月かなり上下していますね。
江尾
江尾社労士
そうなのです。単月の動きで「介護の求人が回復した」と言い切るのは早いのです。ただ、前年割れが4か月続いたあとのプラスですので、来月以降も続くかどうかを見ておきたいところです。
この章のポイント:介護事業の求人は5か月ぶりに前年を上回り、医療業は前年割れが続きました。単月の振れも大きいため、続けて見ていくことが大切です。

2.看護師は求職者が増え、介護は厳しさが続く

さくら
スタッフ さくら
職種別では、どんな変化がありましたか。
江尾
江尾社労士
看護師(保健師・助産師含む)は、新たに仕事を探す方が前月の176人から222人に増え、求人倍率は3.35倍から2.52倍に下がりました。一方で介護サービス職は4.60倍、福祉関連のうち介護関係は4.88倍と、前月の4.79倍から上がっています。
職種 新規求人 新規求職 求人倍率 前月
介護サービス職業従事者 791人 172人 4.60倍 4.75倍
保健医療サービス職業従事者 160人 42人 3.81倍 6.57倍
看護師(保健師・助産師含む) 560人 222人 2.52倍 3.35倍
福祉関連職業 合計 1,918人 505人 3.80倍 4.27倍
 うち介護関係 1,201人 246人 4.88倍 4.79倍

出典:資料10(就業地別・職業別・常用)。「前月」は令和8年8月分の同資料の値です。保健医療サービス職は前月の新規求職が23人と少なく、倍率が振れやすい点にご留意ください。

さくら
スタッフ さくら
介護関係の4.88倍というと、求職者1人に約5件の求人があるということですね。
江尾
江尾社労士
そのとおりです。しかも、介護サービス職の充足率、つまり求人のうち採用に至った割合は8.0%で、全職種の11.8%を下回ります。その一方で、介護サービス職の就職率は36.6%と、全職種の19.4%を大きく上回ります。仕事を探す方は決まりやすく、募集する側は埋まりにくい、求職者優位の構図なのです。
職種 充足数 充足率 就職率
職業計(全職種) 979人 11.8% 19.4%
介護サービス職業従事者 63人 8.0% 36.6%
看護師(保健師・助産師含む) 61人 10.9% 27.5%
社会福祉専門職業従事者 77人 11.0% 47.2%

出典:資料10(就業地別・職業別・常用)。充足率・就職率は原典に記載の値です。

この章のポイント:看護師は求職者が増えた今が、採用の機会になり得ます。介護は依然として、求人を出しても埋まりにくい状況です。

3.募集賃金と希望賃金のギャップ

さくら
スタッフ さくら
賃金の面では、求職者の希望と、求人の提示額に差はありますか。
江尾
江尾社労士
フルタイムの月給で比べると、介護・看護・社会福祉のいずれも、求人の平均賃金が求職者の希望賃金を上回っています。ですから、賃金水準そのものが応募のボトルネックとは言い切れず、求人票での条件の見せ方に改善の余地があるといえます。
職種 求職希望賃金 求人平均賃金 差額 前月の差額
介護サービス職業従事者 212,632円 220,113円 +7,481円 +12,307円
看護師(保健師・助産師含む) 246,091円 260,386円 +14,295円 +519円
社会福祉専門職業従事者 203,784円 231,301円 +27,517円 +24,735円

出典:資料11(就業地別・常用フルタイム・月給)。差額(求人平均−求職希望)は当所が算出。前月は令和8年8月分の同資料によります。

さくら
スタッフ さくら
看護師は、前月は差がほとんどなかったのですよね。
江尾
江尾社労士
はい。前月は+519円でしたが、今月は+14,295円に戻りました。求職者の希望額が259,412円から246,091円に下がったためです。前月の縮小は単月の動きだった可能性があります。むしろ気をつけたいのは介護サービス職で、希望額が202,449円から212,632円に上がり、差が+12,307円から+7,481円に縮まりました。
さくら
スタッフ さくら
介護職の募集では、提示額の「上乗せ感」が小さくなっているのですね。
江尾
江尾社労士
そういうことなのです。介護職を募集する顧問先様には、近隣の求人と提示額を見比べたうえで、処遇改善加算の配分や手当の内訳を求人票で分かりやすく示していただくことをお勧めするのがよろしいかと存じます。

4.介護の求職者の7割超が45歳以上

さくら
スタッフ さくら
医療・福祉の仕事を探している方の年齢は、どうなっていますか。
江尾
江尾社労士
介護サービスの仕事を探している方(有効求職者)766人のうち、45歳以上は552人で、72.1%です。前月の70.4%から上がりました。看護師でも58.6%、社会福祉専門職でも55.1%と、全職種の53.5%を上回っています。
介護サービス職
 
72.1%(552人)
看護師
 
58.6%(447人)
保健医療サービス職
 
56.6%(77人)
社会福祉専門職
 
55.1%(505人)
全職種
 
53.5%(13,596人)

出典:資料13(就業地別・職業別・常用の有効求人・有効求職バランスシート)。45歳以上の割合は当所が算出しました。棒の長さは割合(100%を最大)を表します。

さくら
スタッフ さくら
若い方だけを想定した募集では、応募がなかなか集まらないわけですね。
江尾
江尾社労士
そのとおりです。ミドル・シニア層が長く働けるように、勤務時間の選択肢、移乗介助などの身体的負担の配分、治療と仕事の両立支援を整えておくことが、採用にも定着にも効いてくるのです。

5.今月のまとめ

さくら
スタッフ さくら
最後に、医療・福祉の事業者様にお伝えすべきことを整理していただけますか。
江尾
江尾社労士
データで観測される事実は、介護事業の求人が5か月ぶりに前年を上回り、医療業は前年を下回ったこと、看護師は求職者が増えて倍率が2.52倍に下がったこと、介護関係は4.88倍と厳しさが続き、介護サービス職の充足率は8.0%にとどまることです。ここから推測されるのは、介護では人員確保のための募集が続き、求職者の希望額も上がりつつある可能性です。ただし、断定はできません。
さくら
スタッフ さくら
打ち手は、どの順番で考えればよいでしょうか。
江尾
江尾社労士
採用と定着を分けて、順番に考えます。まず採用では、介護職は提示額の優位が小さくなっていますので賃金水準を近隣と見比べること、看護師は求職者が増えた機会を逃さないよう選考を早めることです。次に定着では、介護の求職者の7割超が45歳以上であることを踏まえ、勤務シフトや身体的負担の配分、治療と仕事の両立支援といった賃金以外の条件を整えることです。
さくら
スタッフ さくら
採用は賃金と求人票、定着は働き方の条件、という順番ですね。顧問先様にも、そのようにお伝えします。
この解説レポートの監修
社会保険労務士 江尻事務所
社会保険労務士健康経営エキスパートアドバイザー医療労務コンサルタント

医療機関・介護事業所の労務管理を専門に、採用計画・賃金設計・就業規則の整備から、治療と仕事の両立支援、「うちなー健康経営宣言」への登録や健康経営優良法人の認定取得まで、沖縄の医療・福祉現場の実情に合わせて伴走支援します。人手不足のなかでも、働き手が定着する職場づくりを、予防的な観点からお手伝いします。

介護・医療の採用・定着のご相談は、江尻事務所へ

求人票の条件設計、賃金・処遇改善、勤務シフトや治療と仕事の両立支援など、医療・福祉の人材確保に関するご相談を承っております。江尻までお気軽にご相談ください。

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【出典】沖縄労働局「労働市場の動き」令和8(2026)年9月(令和8年10月30日公表・資料4-2/6-2/10/11/13)。前月の数値は同「労働市場の動き」令和8年8月分(資料10/11/13)によります。

【注記】数値は原資料の値をそのまま記載しています(四捨五入していません)。前年同月比のマイナスは「▲」で表記しています。差額・45歳以上の割合は原典の数値をもとに当所が算出しました。

本レポートは沖縄労働局の公表資料を基に、社会保険労務士・医療労務コンサルタント・健康経営エキスパートアドバイザーの江尻事務所が、医療・福祉の事業者向けに解説したものです。

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